CTCLSが東京大学および印GVKと共同研究をスタート
GPCR関連でフラグメント解析実施、活性や選択性発現の要因を解明へ
2009.06.26−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、東京大学および同社が代理店を務めるインドのGVKバイオサイエンスとで共同研究を開始する。標的たん白質と化合物との間に活性や選択性が発生する要因を解明する目的で、化合物のフラグメント解析を実施するもの。GVKが日本の大学と共同研究を行うのは初めて。まずは2年間の予定でプロジェクトを進める。
主導的に研究を行うのは、東京大学大学院工学系研究科の船津公人教授らのグループ。GPCR(Gたん白質共役型受容体)タイプAに属するたん白質群に注目し、その活性化合物群との網羅的解析を通して、活性や選択性にかかわるルールの導出とフラグメントキーの探索を試みる。
化合物の分子構造をフラグメント(断片)に分割し、それらのフラグメントを統計的に解析することにより、特定のたん白質に対してどのようなフラグメントが活性や選択性に起因しているかを明らかにできるとされている。より選択性の高い化合物の創出につながると期待されている研究テーマだという。
GVKは、世界の文献、特許、学会などから専門スタッフが情報を集め、承認薬や治験薬、毒性、ターゲット情報などの高品質なデータベース(DB)を構築し、販売している。今回はその中のターゲットDBを利用する。これは、キネーゼ、イオンチャンネル、プロテアーゼ、NHR、ホスファターゼなどの阻害化合物情報や生物活性情報を収録しており、GPCRに関しても470のターゲットと117万の化合物に関するデータが収められている。
今回の共同研究では、GPCRを対象にしたDBが船津教授らに提供されることになる。CTCLSはGVKの代理店として、DBの導入支援や技術サポートを行う。
種々のGPCRに関して、選択性や活性に関係したルールの探索とフラグメントキーの同定がなされれば、副作用の少ない薬剤の創出、およびテーラーメード医療に貢献できるということだ。