米CASが化学物質DBに5,000万件目の物質を登録

WIPO特許から収録、4,000万件目からわずか9ヵ月

 2009.09.18−米CAS(ケミカルアブストラクツサービス)は、化学物質データベース「CAS REGISTRY」(CASレジストリー)に収録された5,000万件目の物質として、鎮痛作用のある“arylmethylidene heterocycle”を登録したと発表した。1957年の収録開始から最初の1,000万件目まで33年かかったのに対し、4,000万件目から今回の5,000万件目まではわずか9ヵ月しかかからなかった。

 5,000万件目となった“arylmethylidene heterocycle”(CAS登録番号1181081-51-5)は、今年8月13日に世界知的所有権機関(WIPO)から発行された特許の実施例中に記載されていた物質で、世界中から情報を集めているCASの科学者チームによって「CAS REGISTRY」に登録された。新規の神経痛薬として合成された一連のアリールメチリデン系のヘテロ環化合物の1つだという。

 国内でCASデータベースの普及を推進している化学情報協会(JAICI)の前会長である千原秀昭氏は、「今回のことは、この1年間に世界で昼夜の別なく平均2.6秒に1件の新物質が分離もしくは合成されたことを意味しており、化学の進歩がとてつもないスピードで進んでいる事実を明らかにしている。また、CASが世界中の科学者が依拠する世界最大の物質データベースとして君臨していることを、あらためて示したものだともいえる」とコメントしている。