菱化システムがKNIME対応のMOEノードをリリース
50種類以上の解析機能など活用、MOEユーザー向けに無償で提供
2009.07.11−菱化システムは、統合分子設計支援システム「MOE」の主要機能をフリーのワークフローツール「KNIME」(ナイム)で利用するためのノードプログラム集「KNIMOE」(ナイモエ)を国内で正式リリースした。スクリプトよりも簡単に解析手順をシステム化できることに加え、作成したワークフローを共有することで、実験化学者などが手軽にMOEを活用できるようになるというメリットがある。利用するにはMOE本体のライセンスが必要だが、KNIMOE自体は無償で提供することにしている。
KNIMEは、独コンスタンツ大学で開発されたフリーのワークフロー作成ツールで、さまざまな機能を組み込んだ“ノード”をグラフィカルなイメージでつないでいくことにより、一連のデータ処理や解析の手順をワークフローとして構築することが可能。最近はCCS(コンピューターケミストリーシステム)分野でも対応するベンダーが増えてきており、MOEの開発元である加CCG社も欧州を中心とするユーザーからの強い要望で開発を進めてきていた。
KNIMOEにはすでに50を超えるノード(下表参照)が用意されており、化合物データベース処理や構造活性相関解析(QSAR)など、ケムインフォマティクス領域を中心にMOEの多くの機能をKNIME上で利用することが可能。いったん解析手順を登録しておけば、データや条件を入れ替えるだけで日常の解析作業が誰にでも行えるようになる。
例えば、(1)複数の化合物ファイルのマージ/脱塩/重複チェック/フィルタリングといった一連の化合物処理、(2)化合物データベースからディスクリプター計算をし、統計処理を経て予測モデルを構築するQSAR解析、(3)データベースからドラッグライクな化合物を抽出し、ファーマコフォアを検索してドッキングシミュレーションを実行し、スコア順にリガンド構造を確認−といった活用事例が考えられるという。
また、解析手法として、サポートベクターマシン(SVM)や階層的クラスタリングなど、まだMOEに正式に実装されていない解析も行うことが可能。他のKNIMEノードとの連携やユーザー開発ノードの組み込みなども含め、豊かな発展性が特徴となっている。
菱化システムが取り扱っているCCS製品の中では、独BioSolveIT社も受容体ポケットの中でリガンドの再構築を行うドッキングツール「FlexSISノード」、化合物を物理化学的特徴を持つツリー構造として定義するファジー類似構造検索ツール「FTreesノード」を開発しているため、これらも合わせて提供していく。
なお、KNIME本体は独ナイム社のホームページ(http://www.knime.org)から無償ダウンロードができる。