アドバンスソフトが材料系統合システムの開発状況開示
国産の計算エンジン群を選定、インターフェース開発など先行
2010.09.16−アドバンスソフトはこのほど、製品化を目指している材料設計支援統合システム「Advance/Material Design System」の開発状況を明らかにした。幅広い系に対応する計算エンジンの選定を完了し、インターフェース開発やビルダー開発に入っている。自社開発した部分も含め、すべて国産のソフトウエアで構成されていることが特徴で、海外のソフトよりも低価格で提供されることになるという。
「Advance/Material Design System」の開発着手については、1年ほど前に公表されたが、今回その開発状況が明らかになった。システム全体のイメージは、材料設計のためのシミュレーションをマルチスケール対応で行うプラットホーム型製品で、量子化学計算、第一原理計算、分子動力学計算、粗視化分子動力学計算、密度汎関数計算などの各種計算手法を統合的に扱うことができる。
分子や結晶などの計算対象をモデリングする“ビルダー”、計算エンジンと連携する“インターフェース”、計算結果を解析する“ビジュアライザー”の3つの部分から構成され、現時点ではビルダーとインターフェースの開発が進んできている。
具体的な計算エンジンとしては、分子を対象とした量子化学計算で「Advance/BioStation」(ADBS)、電子材料や触媒などの固体を対象にした第一原理計算で「Advance/PHASE」、ポリマーを対象にしたメソスケールシミュレーションで「Advance/OCTA」といった自社製品に加え、分子動力学計算では分子科学研究所の岡崎進教授が開発した「MODYLAS」、高速な数値基底量子化学計算プログラムとして北陸先端科学技術大学院大学の尾崎泰助准教授が開発した「OpenMX」を採用する。
現在の開発の進行状況だが、ビルダーは分子ビルダーと結晶ビルダー、インターフェース関係はADBSとPHASEのインターフェースがほぼ完成しており、入力データを作成して実際に計算エンジンを動かすことができている。また、計算エンジン同士を連携させたシミュレーションが行えるようにデザインしているということだ。
自社開発のシステムであるため、計算理論などの詳細なノウハウを社内に蓄積していることのほか、ほかのエンジンも国産ソフトであり、サポート面で有利なことなどが特徴となる。ビジュアライザーの開発がまだこれからであるため、製品化までには少し時間がかかりそうだ。