フィアラックスが国産MDソフトに対応した計算化学支援パッケージ

産総研のCosgeneをサポート、統合ソフト化へ向けシリーズ展開

 2010.08.24−フィアラックス(本社・東京都千代田区、谷前太基社長)は、計算化学を支援するパッケージソフトのシリーズ第1弾として、国産の分子動力学(MD)ソフトに対応した「MF Cosgene」を自社開発し、このほど販売開始した。計算対象となる分子構造のモデリングからMD計算の実行、計算結果の解析まで、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)上でわかりやすく行うことが可能。価格は年間ライセンスで、アカデミック向け12万6,000円、官公庁・研究機関向け25万2,000円、企業向け37万8,000円となっている。

 同社は、たん白質や核酸に特化した分子グラフィックソフト「MolFeat」を2003年から開発し、420本以上販売した実績を持つ。高品位な分子のイメージを作成でき、パワーポイントに埋め込んで分子モデルをリアルタイムに操作するなどのユニークなプレゼンテーションが行えることなどで人気を博している。

 今回の「MF Cosgene」は、本格的な計算化学支援ソフトの第1弾に当たり、大学の研究室単位や中小企業でも、またコンピューターの専門知識のない研究者でも、低コストで気軽に導入できることを狙いとして開発された。対応するMDソフトとしては、産業技術総合研究所で開発された分子シミュレーションシステム「myPresto」に組み込まれている「Cosgene」をサポート。さらに、海外製のMDソフトであるAMBERやNAMD、GROMACSなどに対応したパッケージも計画中だ。

 Cosgeneは、フリーで公開されている国産MDソフトとして国内外で600ライセンス以上の実績があるが、操作はコマンドベースであり、本格的なGUIが提供されるのは今回が初めてだという。入力ファイルの作成など、時間のかかっていた手作業を大幅に効率化できるほか、ネットワーク経由で計算ジョブを投入したり、実行中の計算の状態をいつでも確認したりすることが可能。計算結果は汎用的な形式で出力することもできるため、外部の解析ソフトを活用することも容易に行える。

 マルチプラットホーム対応で、Windows、Linux(レッドハットおよびCentOS)、マッキントッシュから利用できることも特徴。まずは、Windows版が先行リリースされている。

 また、myPrestoには薬物と受容体とのドッキングシミュレーションを行う「sivgene」も組み込まれているため、これとの連携も含めてシリーズ展開を図っていく。最終的には統合型の計算化学パッケージに発展させていきたい考えだ。


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