JSTが科学技術総合リンクセンター「J-GLOBAL」を強化

コンテンツ拡充・名寄せで検索精度向上、β1.3として無料公開

 2010.07.16−科学技術振興機構(JST)は、昨年3月から運営している科学技術総合リンクセンター「J-GLOBAL試行版」を6月にバージョンアップした。だれでも無料で利用でき、JSTが体系的に整備してきた科学技術基本情報を中心に、インターネットを通じてさまざまな外部サイトへのリンクが張られ、研究開発における情報探索や研究者の発想を支援する目的に役立つ。今回はβバージョン1.3となり、公開以来最大の機能強化を実現した。

 J-GLOBAL(http://jglobal.jst.go.jp)には毎月100万件以上のアクセスがあり、ページビューも平均で月間400万を超えている。新しい研究を立ち上げるに際しての先行技術の調査、共同研究・受託研究の相手探しなどに使われるケースが多い。

 コンテンツとしては、科学技術の基本情報が9つのカテゴリーで収録されている。具体的には、研究者(約20万人)、文献(約2,750万件)、特許(約650万件)、研究課題(約6万テーマ)、大学・研究所(約7万機関)、科学技術用語(約18万語)、化学物質(約280万件)、遺伝子(約20万件)、資料(約20万誌)−という豊富な情報が相互に関連付けられ、しかも外部リンクも付されている。

 とくに、文献の書誌情報はサービススタート時の約600万件から約2,750万件へと大幅に増えた。1975年までさかのぼって収録したためだ。同様に、特許庁が発行する公開公報の書誌情報もスタート時の約200万件が約650万件へと拡大していることが目立つ。

 今回のβ1.3では、単純にデータ件数を増やしただけではなく、人名の名寄せ機能を搭載し、検索精度も向上させた。人名の表記の揺らぎや同姓同名も、所属機関や研究内容などから正確に区別できるようになっており、目当ての人物に関係した文献や特許情報を精度良く提示できる。

 また、検索結果画面も改善され、ヒットした項目を複数選択するためのチェックボックス、検索結果を分類するブックマーク登録、検索スコアの高さを表示するスコアグラフなどの機能が追加された。文献の書誌情報をダウンロード(BibTeXおよびRIS形式)したり、検索結果の集合を多段階に絞り込んでいくことも可能になった。

 さらに、アカウント登録すれば、自分専用にパーソナライズされたポータル画面を表示する「MyJ-GLOBAL」機能を利用することができる。あらかじめ登録したキーワードに関する新着情報を表示するアラート機能、気に入ったページをコメント付きで登録しておくブックマーク機能、過去の操作や閲覧履歴を日付別に表示する履歴機能などが組み込まれている。

 そのほか、GoogleAPIを利用して、開いたページに関係のあるニュースや地図を表示する機能が追加された。さらに外部リンクとして、技術移転可能な特許情報サービス「J-STORE」、農林水産省の総合情報サービス「AGROPEDIA」へのリンクが拡充あるいは開始されている。


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