PTCジャパンが工学技術計算ソフト「Mathcad」最新版
設計意図をそのまま文書化、知識の共有・再利用が容易
2011.03.09−PTCジャパンは、このほど次世代の工学技術計算ソフト「Mathcad Prime 1.0」日本語版の販売を開始した。2006年にマスソフト社を買収して得た製品で、今回の最新版はユーザーインターフェースが一新され、直感的に使い易いツールに仕上がっている。数式と文字、画像、グラフを組み合わせて、詳細で専門的な技術文書を短時間で作成できるのが特徴。「Mathcad Prime」上で工学計算や設計作業を行えば、そのプロセスや設計意図が誰にでもわかるように明示されるので、知識の体系化や共有・再利用が容易になるという。
「Mathcad Prime 1.0」は、新たに開発されたタスクベースのユーザーインターフェースを備えており、ユーザーは技術文書の書式編集ではなく、技術計算の実施に専念することが可能。マイクロソフトオフィスと同様のリボンインターフェースを備えているため、複雑な機能を直感的に使いこなすことができる。PTCのデジタルエンジニアリングソリューションに統合されており、三次元CADの「Creo Elements/Pro」や製品ライフサイクル管理の「Windchill」などとの連携が可能。
600種類の関数(ベッセル、カーブフィッティング、データ分析、実験計画法、微分方程式、画像処理、確率分布、信号処理、解法、統計、ベクトル、行列など)、各種単位のチェックと変換、33種類のファイル形式の入出力、グラフ表示(線、散布、棒、ボックス、影響、コンター)、解法ブロック(連立方程式、常微分方程式、最適化問題)など、技術者の生産性を高める機能を装備。数式やテキスト、グラフィック、プログラムなどを混在させ、計算や解析・設計の手順をそのままドキュメント化できる。
開発者のヤコブ・クーチャン製品戦略・開発ディレクターは、「エクセルはセルの中に数式が隠れてしまうが、Mathcadは数式がそのまま見えているという違いがある。欧米では、設計意図を文書化するソリューションとして広く浸透してきており、日本でも普及を期待したい」と話す。
組立型製造業、プロセス製造業、土木・建築などさまざまな業種で採用されているが、「Mathcadで数式を定義すれば誰がみてもわかりやすいのでレビューもしやすい。このため、製薬業における新薬承認プロセスを短縮する目的でも利用されている」(クーチャン氏)という。
なお、Mathcad Prime 1.0の価格は、ノードロックライセンスで17万3,000円、学生版は1万4,000円。日本語版は、メニュー、ヘルプも日本語化されており、日本語の入力も可能。