米CASの「CAS REGISTRY」登録物質数が6,000万件を突破
中国特許から収録、化学研究におけるアジアの影響力拡大を象徴
2011.05.28−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、化学物質データベース「CAS REGISTRY」の登録物質数が6,000万件を突破したと発表した。6,000万件目の物質は中国の国家知識産権局(SIPO)に出願された特許中に含まれていたもので、近年の化学界の研究活動におけるアジア地域の影響力の拡大を象徴するものともとらえられているという。
今回の物質には、CAS登録番号「1298016-92-8」が与えられた。抗ウイルス作用があると予想されており、中国の主要な医薬研究機関の1つである中国医学科学院薬物研究所において、2-アミノ-1,3,4-チアジアジンの各種誘導体の製造にともなって発見されたもの。中国の化学特許の出願数が、2009年以降は世界最多の地位を保っているというCASの調査結果を裏付ける成果であるとしている。
近年では、とくに化学研究におけるアジア地域の影響力の高まりが顕著で、CASデータベースに収録する学術雑誌の数は、過去3年間だけでも日本・中国・韓国から300タイトルが追加されたという。CASでは、研究者が母国語で発表する多数の文献を分析・編成・管理しており、情報の網羅性と質を維持している。
なお、5,000万件目から今回の6,000万件目の登録までの期間は21ヵ月ほどだったようだ。4,000万件目から5,000万件目までは9ヵ月だったので、ややスローダウンしたことになるが、化学界の研究成果がハイペースで増大していることは間違いない。