日立ソリューションズが微生物全ゲノムマップ作成サービス
米オプジェンと提携、高精度ゲノム解析が可能に
2011.12.23−日立ソリューションズは、オプティカルマッピング(全ゲノムマッピング)サービスを提供している米オプジェン社(本社・メリーランド州)と提携し、国内で微生物の全ゲノム構造を迅速に解明するサービスを開始した。これは、顧客から提供された菌体からDNAを抽出し、オプジェン社のオプティカルマッピングシステムを用いて全ゲノムマップを作成するサービス。費用は個別見積もりとなる。
近年の次世代シーケンサー(NGS)の普及により、大量の塩基配列情報を安価に解析することが可能となってきた。これにより、腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌などの食中毒原因菌、院内感染対策で問題視されるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌、多剤耐性緑膿菌などから、機能性食品の研究開発やバイオマス燃料開発などに利用される有用微生物まで、多種多様な微生物ゲノム解析が進展している。
ただ、NGSで得られるのはゲノムの断片的なデータであり、繰り返し配列などの複雑なゲノム構造によってデータが連結しない箇所が存在するため、完全なゲノム配列を得るには多くの手間と時間がかかっているという。
今回のオプジェン社の技術では、微生物から高分子DNAを抽出し、制限酵素でDNAを切断したあと、一分子測定技術によってDNA分子の切断パターンと切断断片の長さを測定。そして、大量のDNA分子情報をアセンブルすることにより、全ゲノムマップを完成させる。このマップをNGSと併用することで、参照配列がない微生物の“de novo ゲノムアセンブル”を効率化したり、挿入・欠失・重複・転座などのゲノム構造解析を支援したりすることが可能。そのための専用解析ソフト「MapSolver」も用意されている。
同社では、すでにNGS解析サービスを実施しているが、今回のオプジェン社のサービスを加えることにより、さらに迅速で精度の高いゲノム解析サービスとしてメニューを充実させていく。