CTCと日本マイクロソフトがHPC分野でクラウドサービス
繁忙期に増大する計算需要に柔軟対応、まずは金融分野対象
2011.11.12−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と日本マイクロソフトは10日、両社のデータセンターのサービスを融合させ、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)領域でクラウドソリューションを提供すると発表した。一定の期間だけ計算量が増大するなどのニーズに柔軟に対応できるため、ピークに合わせた計算機資源を確保する必要がなく、最大で7割程度のコスト削減が実現できるという。サービスの主体はCTCで、まずは保険・金融分野をターゲットとし、3年間で30億円の売り上げを見込む。
CTCは、今回のサービスをデータセンターのホスティングサービスとして提供する。一定の計算機資源を特定の顧客専用に確保し、十分なセキュリティのもとで運用するもの。通常時はCTCデータセンター内の設備でオンプレミスでアプリケーションを動かすが、繁忙期などで計算需要が増えると、日本マイクロソフトのパブリッククラウドサービスである「Windows Azure Platform」を活用するという仕組みである。Azureは最短1日でリソースを準備でき、初期費用なしの時間単位課金制、さらに数百万サーバーまでのスケーラビリティがあるため、大規模な計算環境を経済的に用意できる。
このサービスでまず対象にするのは金融分野。銀行の資本に関する健全性の規制である“バーゼルIII”、保険会社の資本に関する健全性の規制である“ソルベンシーII”、上場企業に対する国際会計基準(IFRS)適用など、リスク管理に関係した規制が強化されつつあり、金融商品のリスク計算や金融機関の財務計算におけるシステム負荷の高まりが予想されているため。こうしたシミュレーションやストレステストなどの計算は季節性があるため、今回のクラウドサービスが最適なソリューションになるという。
これらは処理内容としてはHPC領域のアプリケーションとなるが、HPCで「Windows Azure Platform」を活用するのは今回が初めて。将来的には、科学技術分野のHPCソリューションも対象にしたいとしている。