CCS特集2013年冬:化学情報協会
システム連携で研究効率化、API提供に大きな反響
2013.12.05−化学情報協会(JAICI)は、米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)の国内総代理店として科学者向け情報検索ツール「SciFinder」のサービスを提供。今年は、画面デザインが刷新され、検索手順も簡素化されるなどさらに使いやすくなったが、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)が提供開始されたことも大きな話題として注目されている。国内でも、ラクオリア創薬が第1号ユーザーとしてAPI導入を決めており、化学情報協会では来年に向けてさらに提案活動を強化していく。
SciFinderは、通常ではインターネットに接続してウェブブラウザーから利用するサービス。世界の科学技術文献や特許情報を網羅した豊富なコンテンツが特徴で、化学構造や反応式を使って検索・解析ができるため、化学物質を利用した研究に欠かせないツールとして多くの利用者を誇っている。
今回のAPIは、ユーザーの社内システムをSciFinderと連携させるための仕組み。社内システムに対し、CAS番号で化合物情報や構造データを取得したり、DOIコードで書誌情報・抄録などを取り込んだりできるほか、社内システムを操作する流れで自動的にSciFinderを起動して情報検索を行ったりすることが可能。研究者は思考を中断させることなく、ほしい情報をシームレスに入手できるため、時間短縮で研究効率がアップする。
研究者だけでなく、試薬などの購買や、輸出入にかかわる部門など、さまざまなシステムと連携させることで、SciFinderの利用者が大きく広がるとも期待されている。
一方、最近の機能強化では、Javaプラグインを利用しない構造作図ツールを搭載したことへの評価が高い。ブラウザーの互換性の問題などがほぼ解消され、ストレスなく使用できるようになったという。特許フロントページの図版(イメージ)情報、NMRデータなどコンテンツも着々と拡充されてきている。