アクセルリスが電子実験ノート「Accelrys ELN」最新バージョン6.9
検索・ファイル添付など基本機能強化、モバイル端末との連携も実現
2014.05.10−アクセルリスは、電子実験ノートブック(ELN)の最新バージョン「Accelrys Electronic Lab Notebook 6.9」(Accelrys ELN)を6月末にリリースする。検索機能や実験データのトレーサビリティーを高めるほか、モバイル端末との連携機能を本格的に組み込む。最近、一連の論文疑惑で、おおもとの実験データが散逸して経過がたどれないことが問題視され、データ管理の不備が指摘されてもいる。そうした背景のもと、実験の真正性や公正性を担保できるツールとして、ELNへの関心が企業だけでなく、公的研究機関や大学などからも高まってきた。同社ではさらにユーザーニーズを反映させて、継続的に機能を高めていく。
アクセルリスには、法規制に準拠し製薬業の幅広い研究プロセスに対応する「Accelrys ELN」(旧Symyx Notebook by Accelrys)と、実験の情報共有を促進し製薬業以外でも実績豊富な簡単・低コストの「Accelrys Notebook」(旧Contur iLabber ELN)の2種類のELN製品を提供しており、後者も最新のバージョン5.0がリリースされたばかり。
「Accelrys ELN」は、2011年に6.6、2012年に6.7、2013年に6.8とほぼ毎年バージョンアップされてきている。6.7は製剤部門向け、6.8はCMC(化学、製造、品質管理)部門向けの機能強化がメインだったが、今回の6.9は基本機能の底上げに力点が置かれた。
とくに大きなポイントになるのが検索機能の強化。大量のノートデータから、キーワード一つで瞬時に全文検索を行えるようになった。キーワードと構造式を組み合わせた検索も手早く行えるように調整されているほか、検索結果のヒットリストの上にマウスを置くだけでプレビューウィンドウが開いて、実験ノートの記述内容を簡単にチェックできる。ヒットリストをフィルタリング機能で簡単に絞り込むこともできるようになった。
また、ELNは実験装置の出力データや写真・画像、オフィスドキュメントなどが自由に貼り込めることが利点で、ノートと元のデータが直接ひも付けられているため、データの散逸防止に効果がある。ただ、最近では動画などより大きなサイズのデータを利用したいという要望が増えており、100MBに近いようなファイルを扱うとパフォーマンスが悪くなるケースがあった。6.9ではこの点が改善されたが、今後もさらに改良していく予定。現在は、貼り付けられたファイルはメインデータベースのオラクル内に格納されているが、そこが制約になるともみられるため、外部ファイルをもとのままで管理することも検討されているという。
そのほか、ファイルのオープン/クローズなどの動作も軽快になっており、前バージョンに比べて2倍に高速化されている。
一方、実際のユーザーからの反響が大きいのが、モバイル機器と連携した“Accelrys Mobile Data Capture”機能。実験前のプランニングや最後のまとめはPCで行うが、実験室内にはタブレット端末を持ち込んで作業したいというニーズが増えている。GxPなどの規定では、実験室内で付箋などに記したメモも、それが一次データとみなされるため、その付箋を実験ノートに貼り付けて管理する場合があった。そのため、実験中のメモ書きも電子化してELN内に保存しようという動きが出てきている。タブレット端末を実験室で使用し、それで写真と撮ったり、メモをとったりして、そのままPC側のELNに送信することが可能。
タブレット端末はWindows 8.1およびWindows RTに対応しており、ストアアプリとして提供される。タイルをタップすると専用アプリが起動し、実験手順などを確認しながら必要な入力を行うことができる。通常のタブレットの機能を生かし、PDFなどの参考資料をみたり、関数電卓アプリを使ったり、ストップウォッチアプリで時間を測ったりしながら実験を進めることができるため、現場で非常に使い勝手が良くモチベーションが上がるという声が寄せられているという。iPadやAndroidについては、現在のところはブラウザーベースで同様に使用することが可能。このモバイル対応機能も、今後重点的に強化されそうだ。
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<関連リンク>:
アクセルリス(日本法人トップページ)
http://accelrys.co.jp/
アクセルリス(Accelrys ELN 製品情報ページ)
http://accelrys.co.jp/products/process-management-and-compliance/electronic-lab-notebook.html