米インテル:デイビス副社長が会見、インテルのIoT戦略

サービス実現へビルディングブロックを提供、自動車分野など活用進展

 2014.04.18−インテルのダグ・デイビス副社長兼IoTソリューションズ事業本部長が17日、都内で記者会見し、同社のIoT(モノのインターネット)戦略について説明した。昨年10月末に同事業本部を設立し、本格的な取り組みを進めてきているもので、生産工場、自動車、小売業の3分野での応用展開に力を入れている。「顧客がIoTを利用したサービスを実現するための技術的なビルディングブロックを提供することが、インテルの主要な役割になる」という。

 ネットワークに接続されるデバイスは、2015年に150億台、2020年には500億台に達するといわれている。インテルでは、IoTを「デバイスがインターネットに接続し、高度化するコンピューター機能を統合し、データ解析機能によって意味のある情報を抽出する」と定義しており、その情報によってビジネスや生活を変革する影響力を生み出す。活用シーンで分けると、「モバイル」「ホーム」「産業用」の3つの市場が期待できるという。「IoTの発展によって、より充実したサービス、より多くのデバイス、より多くのデータが生み出される。伸びれば伸びるほど、そうした好循環によって新たな商機が生み出される」とデイビス副社長。

 とくに、IoTソリューションを構成する「モノ」「ゲートウェイ」「ネットワーク」「クラウド」「サービスとソリューション」の各分野で提供できる技術と製品を揃えていくことが同社の戦略であり、その基盤になるのが30年におよぶ組み込みビジネスの実績だとした。すでにネットワークに接続された多くのデバイスに、XEON、CORE、ATOM、Quarkなどの同社のマイクロプロセッサーが採用されている。

 それに加え、新たな分野への投資として、さまざまなデバイスとの接続を可能とするAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)統合と収益化のためにMashery社とAepona社を昨年に買収。セキュアな接続環境を実現する「Intel Expressway Service Gateway」を新しく提供開始している。

 とくに注目している領域は3つで、まず工場のシステム統合。生産機械をネットワークに接続し、安全で信頼できるデータを集めて生産を最適化する。また、小売業向けでは、モバイルの活用、個人顧客向けショッピング、反応の速い店舗の分析などの用途が考えられるようだ。3つ目は自動車分野で、車載用のインフォテインメント、運転支援、自動運転などへの取り組みが進んでいる。

 デイビス副社長は、車載用IoT技術を推進するため、業界の知見を集約したオートモーティブ・イノベーション&プロダクト・デベロップメント・センターの設立、インテルラボのオートモーティブ・エクスペリエンス&インタラクション・リサーチによる研究開発、技術の進歩をうながす領域を見定めてベンチャーに投資するコネクテッド・カー基金の創設、業界との協力によるソフトウエアのエコシステム構築−などの取り組みを紹介した。

 「IoTで自動車はますます自律的になっていく。カメラの画像やレーダーを使った測距情報など、センサーデータの統合が重要で、そうしたビッグデータをリアルタイムで解析するためには、HPCクラスのコンピューティング能力をより小さなフットプリントで提供しなければならない」とデイビス副社長。自動車内での利用に適したジェスチャー認識や音声認識といった未来的なユーザーインターフェース「RealSense」(リアルセンス)の開発にも触れた。

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<関連リンク>:

米インテル(トップページ)
http://www.intel.com/content/www/us/en/homepage.html

米インテル(IoTソリューション紹介ページ)
http://www.intel.com/content/www/us/en/internet-of-things/videos/making-iot-real-part-1.html?wapkw=iot


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