伊藤忠テクノソリューションズがナノ材料設計モデリングソフト

自社開発で製品化、分析データとの連携を志向

 2014.10.24−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は15日、ナノ材料設計をターゲットにしたモデリング&シミュレーションシステムを自社開発し、パッケージソフトとしての販売・サポート、導入に当たってのコンサルティング、システム構築支援などのサービスも合わせて提供していくと発表した。ナノスケールの材料設計に関するモデル構築から計算の実行、計算結果の解析までを一貫して行えるシステムで、計算エンジンには実績のある海外のプログラムを採用しているが、とくに材料開発向けの各種分析装置との連携で実際の研究に役立つシステムに仕上げていく。

 今回開発したシステムの名称は未定(商標登録中)だが、自社開発による製品。担当は科学システム事業部で、科学・工学系の設計解析ソリューションを30年以上にわたって幅広く手がけている。とくに、自動車などの機械系CAEソリューションの一環として、合金・化合物の熱力学平衡計算および状態図計算を行う「Thermo-Calc」(スウェーデンのサーモカルク社)、2次元および3次元の多相合金の凝固および固相変態をシミュレーションする「MICRESS」(独アクセス社)といった材料設計用ソフトを取り扱っている。今回の製品は、解析対象を材料設計のミクロ領域、分子・原子スケールにまで広げようとしたものである。

 具体的には、計算エンジンとして、第一原理計算の「VASP」と「ABINIT」、分子動力学計算の「LAMMPS」に対応しており、これらを材料設計で利用するための使いやすいGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を備えている。同じモデルに対して異なる種類の計算を簡単に実行できることが特徴。とくに、X線などの分析装置のデータをシミュレーションで予測する機能を重視しており、計算値と実験値を突き合わせることで、実際の研究に役立つ重要な判断材料が得られるという。すでに8月から先行してベータ版を提供しており、引き合いもいくつか寄せられているようだ。

 今後は、自社で作成した分子動力学プログラムの組み込みや、さらに大きなスケールの現象を扱う「Thermo-Calc」などとの連携も考慮していく予定。分子シミュレーション領域から熱力学物性の予測にまで踏み込んだシステムは他にはあまりみられないとして、将来的な強みにしていきたい考えだ。

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<関連リンク>:

伊藤忠テクノソリューションズ(トップページ)
http://www.ctc-g.co.jp/

伊藤忠テクノソリューションズ(科学・工学情報サイト)
http://www.engineering-eye.com/index.html

伊藤忠テクノソリューションズ(科学・工学情報サイトのマテリアル領域のページ)
http://www.engineering-eye.com/category/21/


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