米シミュレーションズプラスが米コグニジェンを買収・合併

効率的な臨床試験実施を支援、創薬から臨床までモデルベースで

 2014.10.23−米シミュレーションズプラスは、臨床薬物動態技術を用いてモデルベースの医薬品開発を支援する米コグニジェンを買収した。コグニジェンのブランドとサービスはそのまま継続するが、企業としては合併し、コグニジェンのタディアス・グラセラ社長(Thaddeus Grasela)が新生シミュレーションズプラスの社長に就任、シミュレーションズプラスのウォルター・ウォルトス会長兼CEO(Walter Woltosz)は引き続き同職を務める。両社とも、日米欧の規制当局に対する新薬申請に対応したモデリング&シミュレーション技術で実績が豊富。合併によって、創薬から臨床試験に至る幅広いステージをカバーできるようになったことで、さらなる事業拡大を図っていく。

 今回の買収は、昨年11月にウォルトス氏とグラセラ氏が初めて会い、2つの会社を統合することで合意して、計画を進めてきたもの。NASDAQに上場しているシミュレーションズプラス(シンボルはSLP)が存続会社となり、9月に合併が完了した。

 シミュレーションズプラスの売り上げは、2014年8月期で1,126万8,000ドル。前年度に対して11.9%の伸びで、経営は良好。とくに、売り上げの6割を占める「GastroPlus」(薬物の消化管内での吸収、血中濃度の変化などを予測するソフト)が好調で、ユーザーが新薬メーカーだけでなくジェネリック企業にも広がって、新規ライセンス販売が大きく伸びたという。今回のコグニジェンとの統合により、年間で約500万ドルの増収が見込まれるようだ。社員数も、30人から65人に増えている。

 さて、コグニジェンはニューヨーク州バッファローにおいて1993年に設立された企業。薬物動態に関するモデリング&シミュレーションに基づいて、臨床試験の効率的なデザインや実施を支援するサービスを行っている。同社の解析データを新薬申請に利用すると、米食品医薬品局(FDA)からの照会や質問がほとんどなく、申請がスムーズに進むとして好評だという。これまで、日本には正式な窓口は置いていなかったが、すでに国内の製薬企業6社と取引があり、そのうちの3社の新薬申請に実際に採用された。

 合併のシナジーについて、ウォルトスCEOは「シミュレーションズプラスの技術は、創薬から非臨床までを対象にしたシミュレーションが主体で、GastroPlusは生物学的薬物速度論(PBPK)モデルをこの分野に持ち込んだことでパイオニア的な役割を果たした。ただ、そのモデルは健常人を対象にした臨床データから導かれている。それに対し、コグニジェンは実際の患者から得られたデータに基づくモデルを使用している」と説明。グラセラ社長も、「シミュレーションズプラスのPBPKモデルをコグニジェンのシミュレーションに組み込むことで新しい世界が開かれる。当局もPBPKモデルの解析データに注目するだろうし、体内動態の解析が精密に行えるので臨床試験の失敗も減らせると思う」と期待する。

 国内では、シミュレーションズプラス製品の販売・サポートで、ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)が代理店を務めているが、今後はコグニジェン事業の拡大に向けての支援も行っていくことにしている。

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<関連リンク>:

米シミュレーションズプラス(トップページ)
http://www.simulations-plus.com/

米コグニジェン(トップページ)
http://www.cognigencorp.com/

ノーザンサイエンスコンサルティング(トップページ)
http://www.northernsc.co.jp/


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