ワールドフュージョンがバイオインフォで海外市場に本腰

自社パッケージの浸透図る、メタゲノム解析が環境分野でも注目

 2014.10.20−ワールドフュージョンは、昨年サンディエゴに設立した子会社を足がかりに海外事業に本腰を入れはじめた。遺伝子・化合物情報の統合ナレッジデータベース「LSKB」や、次世代シーケンサー(NGS)と連携したメタゲノム解析パッケージ「Metagenome@KIN」など、自社製品のさらなる普及を狙って、海外市場を視野に入れる。米国の学会への出展などを通じ、マーケティングを強化している。

 同社はバイオインフォマティクスの専門ベンダーで、最近はCLCバイオ社のシーケンスデータ解析ソリューションなどで実績を伸ばしている。とりわけ、NGSの大量の出力データからいかに機能解析を行うかが重要になるが、その点で注目されているのがワールドフュージョンの看板製品である「LSKB」(ライフサイエンスナレッジバンク)。20以上の公共データベースからの最新の遺伝子情報をデータベース化しており、約6,000万の化合物情報を統合して、遺伝子・タンパク質・化合物・疾患情報が相互に結びつけられている。このため、ゲノムの変異情報から既知疾患の情報を得たり、遺伝子やタンパク質から結晶構造複合体化合物や創薬標的情報、アッセイの活性値、疾患別の発現情報を簡単に参照したりすることが可能。創薬やゲノム研究のための基本データセットとして、ナレッジ構築にも有用な機能を備えている。

 一方、「Metagenome@KIN」も自社製品として開発され、昨年8月に東京都のトライアル発注認定制度の認定商品に選ばれている。NGS出力データをもとにBLASTまたはRDP Classifier実行後のファイルをドラッグ&ドロップするだけで、自動的に16S rRNA系統解析が行われ、試料に含まれる細菌・微生物のグルーピングや階層分類を実行してくれる。プログラマーや複雑なコマンド処理が不要なため、一般の研究者でも簡単に解析することができる。

 口腔細菌や腸内細菌の解析・モニタリング、食品の遺伝子検査などのほか、最近では環境モニタリングでも実績が出てきており、土壌や河川、海水中に含まれる菌叢を調べることで環境の変化や安定化を評価する目的でも利用されている。また化粧品分野では、使用する天然原料中に有害な細菌が存在しないかを確認するためにも使われているという。

 同社の米国子会社は、これら自社製品の普及に力を入れる。現在、米国人スタッフを3人抱えており、とくに「Metagenome@KIN」は製品開発の多くの部分を米国で担当したこともあってサポートにも不安はない。今年から学会での展示なども始めており、来年に向けた成果が期待されるところだ。

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<関連リンク>:

ワールドフュージョン(トップページ)
http://www.w-fusion.co.jp/

ワールドフュージョン(LSKB 製品情報ページ)
http://www.w-fusion.co.jp/J/productlist/lskb_oc.html

ワールドフュージョン(Metagenome@KIN 製品情報ページ)
http://www.w-fusion.co.jp/J/productlist/Metagnm.html


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