情報統合型物質・材料開発イニシアティブがコンソーシアム立ち上げ
DB・ツールなどプラットホーム活用、会費無料で4月スタート
2016.02.17−材料インフォマティクスの国家プロジェクトである「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ」(MI2I、エム・アイ・スクエア・アイ)は、広く産業界からの参加を募るコンソーシアムを4月に立ち上げる。3月から参加受付けを開始し、4月中に第1回のコンソーシアム会合を開く予定。従来型の試行錯誤ではなく、データ駆動型で材料研究・材料開発を行うためのプラットホームづくりと、具体的な課題(蓄電池材料、磁性材料、伝熱制御材料)に対する実用性の検証を進める。今回のコンソーシアムは、国家プロジェクトにおける新しい産学連携のスタイルを構築する取り組みとしても注目される。
MI2Iは、1月25日に第2回MI2Iフォーラムを開催。約240人が出席し、東京大学新領域創成科学研究科の津田宏治教授の「物質・材料開発のための機械学習:仮想スクリーニングとベイズ最適化」、富士フイルムの渡邊裕幸先端コア技術研究所長の「富士フイルムにおける物質・材料開発の取り組みの現状とMI2Iへの期待」と題する招待講演などに耳を傾けた。
MI2Iは、科学技術振興機構(JST)の「イノベーションハブ構築支援事業」のもと、物質・材料研究機構(NIMS)が中核となって昨年7月にスタート、5年間にわたって実施される。すでに、ハブ拠点での集中研究はスタートしており、NIMSから約70人、他の大学・研究機関から約100人の研究者が集まって、データベースやツールを構築する「データプラットフォームグループ」「データ科学グループ」「物理モデリンググループ」、さらに出口課題に関する研究を行う「蓄電池グループ」「磁性グループ」「伝熱制御グループ」に分かれて動き始めている。
4月から新たに開始するコンソーシアムは、これらハブ拠点機能のトライアルユースという意味合いもあり、メンバーは開発されたデータベースやツール群を活用することが可能。セミナーやスクールなどに参加し、ハブ拠点の研究チームとの情報交流を図ることもできる。産業界は企業単位、大学・公的機関の研究者は個人単位で参加でき、会費は無料。活動にともなう諸費用はそれぞれの機関の自己負担となる。
また、コンソーシアムでの成果物は、知財を含めてプロジェクト期間内はコンソーシアム内公開が原則。ただし、条件付きの公開や当面は非公開とするなど、柔軟に対応するとしている。知財の扱いについては、「発明者主義」「不実施補償なし」で、コンソーシアムメンバーへの優遇措置として、プロジェクト期間内は無償での実施、終了後は第三者よりも優遇するなどの条項がある。
一方、ハブ拠点への企業などの研究参加は、3年目である2017年以降に実施する計画。こちらは、拠点事業戦略に沿った研究開発となり、成果は拠点に帰属する。実際には、新規出口課題やシステム構築などを委託事業(公募)のかたちで行う予定だという。
そのほか、NIMSとの通常の共同研究契約スタイルでの参加も可能。この場合は、特定企業向けのカスタマイズを想定した事業となり、予算は企業側が負担、成果は非公開が基本となる。
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<関連リンク>:
NIMS(情報統合型物質・材料研究拠点の紹介ページ)
http://www.nims.go.jp/research/MII-I/index.html