米ラマソフトが日本法人設立など対日戦略本格化
サプライチェーンのデザインプラットホーム、将来予測で全体最適実現
2016.03.03−米ラマソフト(本社・ミシガン州、ドン・ヒックス社長兼CEO)が日本法人を設立し、国内での事業活動を本格化させた。2月24日に東京で「サプライチェーンデザインカンファレンス2016」を開催し、国内のパートナー各社とともに、約130人の出席者を集めて事実上のキックオフを行ったもの。同社は、サプライチェーンデザインのグローバルリーダーで、企業におけるサプライチェーンのネットワーク全体をモデル化し、シミュレーションを通して継続的に改革と改善の指針を示すためのプラットホーム技術を提供。変化の激しい世の中で俊敏な企業活動を実現させるソリューションとして注目されている。法人設立などの積極的な投資を通して、今年は日本を含めたアジア市場で5〜10社の新規顧客獲得を目指したいという。
同社のソリューションの中核になっているシミュレーションエンジンは2006年から提供されており、すでに世界で200社を超える企業での利用実績を持っている。とくにこの5年間は平均で対前年比74%のペースで成長しており、2015年についてはIBMのサプライチェーン事業(製品名:LogicNetPlusなど)、バーローワールドのサプライチェーンソフト部門(製品名:CASTなど)を買収したほか、ゴールマン・サックスから5,000万ドルの投資を受けるなど活発な動きが目立った。日本法人も登記上は同年8月に設立されている。
日本法人「ラマソフト株式会社」は、所在地が東京都港区海岸1-2-20、汐留ビルディング3階。電話03-6721-8451、FAX03-6721-2020。代表者はジョン・エイムス社長で、すでに約10人のスタッフが活動している。国内のビジネスパートナーは、デロイトトーマツコンサルティング、カート・サーモン、野村総合研究所、プライスウォーターハウスクーパース、セブンゼンコーポレーション、ワクコンサルティングなど。
いわゆるサプライチェーンマネジメント(SCM)は、計画、調達、生産、販売物流の4つの領域から構成されていたが、ラマソフトの技術はこれらの上流に当たる“設計”のためのもの。「設計がまずければ、いくら計画しても成功しない」とヒックスCEO。従来の計画系システムはすでに存在するサプライチェーンの使い方を考えるもので、設計系システムはふさわしいサプライチェーンそのものを考えつくり出す点で大きな違いがあるという。サプライチェーンネットワーク全体をモデル化し、シミュレーションを行うことで、将来を見通して何を行うべきかを明らかにする機能を持っている。
具体的なソリューションとしては、デザイン、プランニング、ビジビリティの3つの軸でプラットホーム化が図られており、モデルを駆動させるためのデータの提供や分析支援なども含めて包括的なサービスが提供される。
とくに、デザインプラットホームとなる主力製品「SupplyChainGuru」は、サプライチェーンのオペレーションをみえる化して分析する可視化機能、サプライチェーンの将来的な変化を探り新たなシナリオを検証する立証機能、コスト・サービスレベル・サステナビリティ・リスクといったトレードオフ要素を数理的にバランスさせる最適化機能を持っており、不測の事態や市場変動、新たなビジネス戦略などに迅速に対応できる柔軟性も備えている。
「SupplyChainGuru.com」はクラウドベースのソリューションで、世界中の各拠点に分散したデザインチームがモデルやデータを共有しながら協調して作業することを可能にする。また、複数のシナリオを同時に解析するなど、負荷のかかる処理を一時的に担うオンデマンド用途にも利用できるという。
一方、「DataGuru」はサプライチェーンデザインを継続的に実行するために便利なソリューション。形式や所在の異なる各種の業務データを一元的に収集して、マウス操作でデータをブレンド・解析・変換することが可能。継続的にモデルを改善するためのデータワークフローを構築するのに役立つ。さらに、「DataServices」を利用すると、新しい市場など社内にデータのない場合でも、リファレンスとなるデータやベンチマークのためのデータを提供してもらえる。
さらに、今後のロードマップとして、買収した製品の統合計画が進んでおり、「SupplyChainGuruX」が年内にも登場する予定。新機能もいくつか加える計画だが、なかでも地図上でサプライチェーンネットワークのモデリングや分析を行うことができるインラタクティブビジュアルツール機能の注目度が高い。そのほか、生産プロセスを柔軟に再現する機能も搭載される。複数の拠点にまたがる複数の製品や部品が関係するプロセスを関連づけることが可能。S&OP(Sales and Operations Planning)や供給コストのモデリングや分析が容易になるという。
******
<関連リンク>:
ラマソフト(トップページ)
http://www.llamasoft.com/