CTCライフサイエンスが法規制化合物チェック機能を強化
麻薬の前駆体を検出、コンプライアンス徹底へ新機能
2016.05.13−CTCライフサイエンス(CTCLS)は、自社開発の法規制化合物チェックシステム「RegSys」を機能強化し、オプションとして「麻薬前駆体辞書」を整備して提供開始した。想定外の反応が生じて麻薬を合成してしまうなどの誤りを未然に防止することができる。さまざまな化学物質を扱う製薬企業などにとっては、コンプライアンス徹底のためのソリューションとして注目される。
RegSysは、覚せい剤取締法や麻薬・向精神薬取締法をはじめ、薬機法の指定薬物、毒物及び劇物取締法の特定毒物、労働安全衛生法や化学兵器禁止法で規制されている物質などを化学構造式でチェックするシステム。有機合成実験の際に反応式などを記述する電子実験ノートブック(ELN)と連携して使われることが多く、実験計画を入力した段階で反応物や生成物、中間体などに該当する物質がないかを判定することができる。
ただ、近年は危険ドラッグの氾濫などの影響もあって規制物質が増加する傾向にあり、よく知られているモルヒネやコカイン、ヘロインといった複雑な分子構造を持つ麻薬ばかりでなく、最近登録された例では、一−ベンジルピペラジンや一−(三−クロロフェニル)ピペラジン、四−ヒドロキシ酪酸など、構造が簡単な物質でも法規制に該当する例がみられるという。
このため、実験計画での想定生成物が麻薬ではないとしても、実際には想定していない反応が進んで、麻薬が合成される可能性がある。誤って合成した場合でも処罰の対象になり得るため、コンプライアンスを重視する企業にとっては大きな問題だ。
そこで、今回のRegSysの新機能は、1ステップの反応で麻薬になる化合物(前駆体)をチェックできるようにしたもの。実験計画の反応式に前駆体が含まれていると、アラートを発してくれる。具体的には、麻薬に指定されている物質の化学構造をもとに、還元・酸化・加水分解・アルキル化・アシル化・還元的アミノ化・転移などの反応を考慮して前駆体辞書情報を作成し、システムに組み込んだ。麻薬の前駆体をチェックできる機能が実装されるのは、国内では初めてだという。
同社では、ELNのBIOVIA Workbookに組み込んで連携できるメリットを前面に押し出して、広く普及を図っていくことにしている。
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<関連リンク>:
CTCライフサイエンス(トップページ)
http://www.ctcls.co.jp/
CTCライフサイエンス(法規制化合物コンプライアンス強化ソリューションのページ)
http://www.ctcls.co.jp/products/ctcls/compound_compliance.html