塩野義製薬がAI利用で臨床試験解析業務を自動化へ

SASの機械学習ツール活用、臨床試験設計書から解析プログラム生成

 2016.04.13−SAS Institute Japanはこのほど、塩野義製薬がHadoop対応製品の一つである「SAS In-Memory Statistics for Hadoop」の機械学習エンジンを利用し、臨床開発業務で使用されるSASプログラムとその関連文書を自動生成する人工知能(AI)アプリケーションの開発に着手したと発表した。統計解析の専門知識が必要だった臨床試験解析業務の多くを自動化し、臨床試験の大幅なコスト削減と期間短縮を達成することが狙い。人が介在することによるエラーも大幅に低減できると期待されている。

 塩野義製薬は長年にわたって、臨床試験のデータ管理や統計解析業務にSASを活用してきている。SASとの共同プロジェクトとしては、2014年に「SAS In-Memory Statistics for Hadoop」を使ったビッグデータ活用を試みており、社内データとオープンデータを組み合わせて新薬の開発や安全性の研究を行うための情報基盤に採用するなどの成果をあげてきている。このプロジェクトを通して、機械学習エンジンの活用と理解が進んだ結果、新しい用途として臨床試験解析への適用が検討されるようになったという。

 現在の臨床試験解析業務は、事前に作成された解析設計書を読み解き、計画した分析手法をSASプログラム上で実行する必要がある。このため、統計解析の専門知識を持つ解析担当者がプログラムスキルを駆使して、その都度新しいSASプログラムを作成しているのが実態。今回、これにAIを応用することで大幅な効率化が見込まれるめどが立ち、今年度内の完成を目指して開発に着手することになった。

 具体的には、解析設計書や解析プログラム、またそのログや出力結果など、さまざまな形式のデータをもとに、AI技術によるパターン化を行っていく。高度なスキルを必要とする臨床解析業務を担える学習結果を出すことができるか、プロジェクトの成否が注目される。

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<関連リンク>:

SAS Institute Japan(トップページ)
http://www.sas.com/ja_jp/home.html

塩野義製薬(トップページ)
http://www.shionogi.co.jp/


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