クラウディアンらがAIを活用した屋外ターゲティング広告に道
首都高で車種を認識、広告を切り替える実証実験に成功
2016.10.15−クラウディアン(本社・東京都渋谷区、太田洋代表取締役)は13日、人工知能(AI)を活用してカメラ画像から走行中の車種を認識し、それに合わせて広告表示を切り替える実証実験に成功したと発表した。これは、電通、スマートインサイト、Quanta Cloud Technology Japanと進めている共同プロジェクト「Deepap Project」の一環で、今回は大型LEDデジタルサイネージシステムでJESCO CNSが実験に協力している。これまで難しいといわれていた、屋外でのターゲティング広告の実用化に道をつける成果が得られたとしている。
実証実験では、六本木の大型LED広告塔にビデオカメラを設置し、首都高速3号線を走行する車の中から指定された車種を見分け、高級車・ファミリーカーなどの分類に基づいて、表示させる広告を切り替えることを行った。走行車種を自動認識する技術として、ディープラーニング(深層学習)を利用し、300車種以上、1車種当たり5,000枚以上の画像を学習させ、2〜3カ月かけて認識モデルをつくり上げた。
実際の動作については、ビデオカメラで約300メートル先を走る車を撮影し、約0.5秒以内でAIが全走行車両のメーカー、車種や年式を認識、広告対象車両を判別すると広告切り替え信号を送出し、ターゲットに合わせた広告を10秒間表示した。10秒後にリセットして再び認識・判別を繰り返す。
今回の実証実験では、閾値を96%に設定すると正解率は100%、同じく80%に設定すると正解率は91%という結果が出たという。今回は広告という性格上、検出数が減っても正解率を上げる方向で調整したが、学習をさらに深めることで全体の認識率を向上さ・ケることが可能。今後は、道路広告における商用化を目指してさらに研究を進めるほか、ショッピングセンターなどの駐車場に設置することで店舗の広告と連動させたり、交通量調査や道路監視などの分野へ応用を広げることを検討したりしていく。
クラウディアンは、ビッグデータに対応した広域分散型オブジェクトストレージの専門ベンダーで、今回も実行環境でのビデオデータ蓄積や、クラウド側での機械学習に同社のストレージが利用された。IoT(モノのインターネット)とビッグデータによって、ストレージへの需要はますます高まるとみられるが、同社の「CLOUDIAN HyperStore」は数十テラバイトから数ペタバイト超級のビッグデータを経済的に保存できるという特徴がある。今回の共同プロジェクトを通して、この分野でのノウハウ蓄積に役立てたい考えだ。
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