CCS特集2017年夏:ケミカルアブストラクツサービス
製剤向けで新サービス、専門知識と豊富な情報活用
2017.06.21−ケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、米国化学会(ACS)の情報事業部門として、豊富な化学物質情報や科学技術文献情報にアクセスできる高機能なオンライン検索サービスを提供。世界中の企業、大学、政府機関、特許庁などで活用されている。今後はさらに新しいサービスに乗り出していく計画だ。
CASはここ数年、グローバルオペレーションを強化しており、日本をはじめ、ドイツ、イギリス、中国、韓国、シンガポール、インドのほか、ロシア、中東や南アフリカなどに拠点を設立している。日本国内では、化学情報協会が総代理店として、各種のサービスを提供している。
今年、設立110周年であり、化学物質情報を体系化したCAS登録番号は1億3,000万件を超えている。約1万種類の学術雑誌、特許、学会会議録などをもとに構築したもので、これらの豊富なコンテンツを検索するツールとして、「SciFinder」や「STN」がよく知られている。
CASは、グローバルオペレーションの強化に合わせて、新しいサービスの開発も積極的に進めており、その1つとして、今年後半に製薬業向けに製剤に関する情報に特化したソリューションをリリースする予定。こうした情報は主に特許の中に見いだされるが、文書中のどこに書かれているか見つけるのが困難で、調査には多くの時間を費やしていたという。
とくに、このツールを使えば、特許調査の専門家ではなく、現場の研究者が自分で情報を調べることができる。同様のニーズは農薬、化粧品や樹脂・ゴム、塗料などの分野でも期待できるため、継続的にコンテンツの充実を図り、適用分野を広げていきたいとしている。
この製剤向けソリューションは、6月28日から東京ビッグサイトで開催されるBIOtech2017の展示ブースでデモをみることができる。
そのほか、特許・科学技術情報の調査サービス「SCIENCE IP」も国内で本格的に展開したい考え。当面は英語ベースだが、CASの専門スタッフが個別のユーザーニーズに応えた調査を行う。さらに、CASの豊富なデータベースを社内で使いたいなどの要望に応じることも検討中だという。