化学情報協会が「Classic STN」用の新ツールを提供開始
最新ブラウザーに対応、統制語のシソーラス表示など新機能
2017.06.22−化学情報協会(JAICI)は、知財・情報検索担当者向け検索サービス「STN」を利用するためのウェブブラウザー向け新ツール「STNext」(エスティーエヌ・ネクスト)を提供開始した。最新のブラウザーに対応するとともに、使いやすさが向上していることが特徴。STN契約者は、定額制・従量制を問わず、追加料金なしで、手持ちのIDとパスワードですぐに利用することが可能だ。
STNは、米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)と独FIZカールスルーエが共同で運営しているオンラインサービスで、約120種類のデータベースをコマンド入力方式で検索することができる。コンテンツが豊富なことに加え、コマンドを駆使することで複雑で網羅的な検索が可能。世界各国の特許庁でも使用されるなど、調査漏れの許されないプロフェッショナルの要求に応えるサービスとして、高い評価を得ている。
STNはここ数年、完全ウェブベースでシステム自体が刷新された「STN新プラットフォーム」への移行を進めてきているが、まだすべてのデータベースが使えるようになっていないこともあって、従来の「Classic STN」を継続使用するユーザーも多い。
今回の「STNext」は、「Classic STN」をウェブブラウザーで利用するための「STN on the Web」の後継製品という位置づけになる。構造式検索を行う目的などでプラグインを利用していたためで、今回はプラグインをサポートしない最新ブラウザーで動作するようになっている。ただ、それだけではなく、新しい機能も実装して高機能なツールに仕上げたことが注目されるところだ。
まず、IDとパスワードが記憶されるようになり、ログイン時に毎回入力し直す手間がなくなった。画面もフレームで分割され、検索履歴や語彙目録、データベースなどがタブで切り替え表示できるため、常に確認しつつ素早く検索操作に適用することが可能。とくに、検索対象とするデータベースの指定は一覧から選択するだけ。お気に入りとしてチェックしたデータベースはリストの上位に表示される。また、コマンドを入力しようとするとオートサゼスチョン機能が働くので、入力の負担が大幅に軽減された。スペルミスが防げるほか、検索式に統制語が含まれていると、自動的にそのシソーラスが展開する。該当する統制語を中心に、上位・下位語の階層を開いてシソーラス辞書が表示されるため、同義語・関連語を探す手間がなくなり、検索精度を簡単に引き上げることができる。コマンドで覚えにくかった近接演算子を補助してくれる機能も追加されている。
表示も大きく変わった。これまでは、テキストターミナル式の表示で、項目やレコードの切れ目がわかりにくかったが、タイトル部分のフォントを大きくしたり、レコード単位で外枠を表示したりするなどしたことで、検索結果の見やすさは大幅に向上している。
そのほか、構造式作図ツールも、プラグインを不要にしただけでなく、構造式を呼び出す機能が新規に盛り込まれた。CAS登録番号、あるいはInChIやSMILESの入力により、作図なしで該当する構造式が表示されるようになった。
ところで、「STN新プラットフォーム」と「Classic STN」の関係だが、基本的に新プラットフォームへ移行する流れは変わらないようで、システム制限が解消されていることに加え、こちらでしか使えない新機能も増えてきている。ただ、今回の「STNext」によって使いやすくなったことで、「Classic STN」も当分は現役を務めることになりそうだ。
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<関連リンク>:
化学情報協会(トップページ)
http://www.jaici.or.jp/
化学情報協会(STN製品情報ページ)
http://www.jaici.or.jp/stn/index.php
STN(STNextのトップページ、利用にはIDが必要)
https://next.stn.org/