エルゼビア・ジャパンが国内でプロフェッショナルサービス提供へ
データインテグレーション・解析を受託、研究における情報活用を支援
2017.09.28−エルゼビア・ジャパンは、欧米の製薬・化学メーカーで需要が増えているプロフェッショナルサービスを、国内でも本格的に実施していく。企業の内外に分散している各種データソースをまとめ、漠としたデータから的確な知識を引き出すことを目的としたもの。同社が培ってきた高度なデータインテグレーション技術、データアナリシス技術を駆使して、顧客ニーズにカスタム対応する。
同社は、世界最大級の反応・化合物データベースサービス「Reaxys」など、製薬・化学領域の研究開発を支援する各種製品群を提供。とくに最近では、単純なデータ検索ではなく、研究をサポートする基礎となるツールを目指して機能を強化してきている。
一方で、製薬メーカーや化学メーカーは研究に多くのデータソースを活用しており、社内には化学、生物、薬理、バイオアッセイなどのデータが蓄積されているほか、電子実験ノートブック(ELN)が活用されるケースも増えている。さらに、外部の商用データベースや公開データベースを利用し、学術文献・特許などから必要なデータを探し出す調査活動に多くの時間をかけている。こうした各種のデータソースを連携・調和させ、統合的に扱えるようにすることが、効率的な研究環境を実現する第一歩になるという。
同社のプロフェッショナルサービスは、データインテグレーションによってデータソースを一元化し、研究目的に沿った情報を引き出すデータアナリシスによって、顧客の研究を直接支援する受託サービス。欧米では、大手製薬・化学メーカー向けに実績を伸ばしている。
例えば、多くの反応情報が登録されたReaxysと、社内の合成実験を記録したELNのデータを統合。カスタマイズしたReaxysの画面から両方のデータをシームレスに検索できるようにしたケースがある。社内のケミストは使い慣れたReaxysの検索機能でELNデータを調べることができ、時間短縮やより良い判断などの恩恵を得たという。また、別の企業では、複数のデータソースをシングルビューで解析することにより、「研究中のターゲットに関する多くの情報を知りたい」「目的のリガンドと類似した構造の化合物を得たい」「特定の疾患に関する新しい作用機序を調べたい」など、数日から数週間かかるような複雑な質問に対する回答を効率的に得ることができるようにした実績もある。
さらに、データアナリシスの事例として、非構造化ドキュメントから自然言語処理によるテキストマイニングで知識を収集した例がある。この場合、研究者らはキナーゼ阻害剤に関して、「がん治療のためにそれらを研究している人物」「どのようながんを対象にしているか」「どんな副作用が知られているか」「手持ちの化合物のキナーゼ阻害を予測できるか」などの質問に対する答えを必要としていた。同社のプロフェッショナルサービスによって、社内外のさまざまな形式のドキュメントをテキストマイニングにかけ、情報を調べるとともに、抽出したデータから予測モデルの構築までも行ったという。
また、ドラッグリパーポージングの例では、テキストマイニングを用いてターゲットをみつけ、疾患メカニズムについて知られていることをまとめ、それらのターゲットを標的とする薬物を探索するための生物活性データを検索したほか、共同研究相手をみつけるために、関連する文献の著者名や所属機関名の正規化を行うなどのサービスを提供したという。
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