2018年夏CCS特集:ウェイブファンクション
今夏に最新バージョン発売、国内開発の新機能を搭載
2016.06.20−ウェイブファンクションは、計算化学のビギナーやベンチケミストに人気の統合分子モデリングシステム「Spartan」を開発し、グローバルに販売している。国内では、各種学会などでの展示のほか、無料で実施しているワークショップを通してユーザーのすそ野を広げているが、大学などの教育用途での利用が多いため、新しく研究室に入る学生を対象に、ワークショップは満席となるケースがほとんど。人数が多い場合は、それぞれの大学に出向いてオンサイトでのワークショップを開くことも多いという。
今年の夏には、最新バージョンのSpartan '18がリリースされる予定。まずはWindows版を皮切りに、Mac版、Linux版が順次提供される。とくに、コアの計算エンジンがQ-Chemバージョン5ベースに更新され、新しい汎関数が多数追加される。
また、弘前大学および北海道大学との共同研究に基づく新機能が正式に搭載される。これは、NMR(核磁気共鳴)を用いた天然物の構造決定を自動化するもの。可能性のある配座を網羅する初期段階の計算に高速な分子力学法を使い、段階的に精度の高い量子化学的手法によるエネルギー計算と構造最適化計算を実施して絞り込み、最終的に量子化学でNMRの化学シフトを求めていく。一連の複雑な計算手順がプロトコル化されたことで、使い勝手が良くなっているという。
一方、Spartanは、和歌山県工業技術センターの「ケミカルスマートものづくり 計算化学スクール」に採用され、昨年度から同センターで貸付機器として運用されてきている。県内の企業が自由に利用できるようになっているが、フォローアップとして7月に計算化学システム利用セミナーが開催される。これまでの利用事例も紹介する予定であり、その内容が注目されよう。