富士通がデジタルアニーラサービスを第2世代へ拡張
最大8,192ビット規模の問題に対応、処理速度100倍に向上
2018.12.22−富士通は21日、量子現象に着想を得た「デジタルアニーラ」を利用するクラウドサービスにおいて、より大規模な組み合わせ最適化問題に対応できる第2世代システムの提供を開始したと発表した。扱える問題の規模が最大8,192ビット、解析精度が最大64ビット(1,845京階調)に広がっており、今年5月からサービスしている第1世代システムに比べて、処理速度が100倍に向上している。製造・金融・物流・創薬など、現実の課題への適用が可能となり、量子コンピューティングの実用化への道をつけるものとして期待される。
富士通と富士通研究所は、さまざまな要因の組み合わせを考慮しながら最適解をみつけ出す組み合わせ最適化問題に対処するための専門アーキテクチャー「デジタルアニーラ」を開発し、5月から「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer」(デジタルアニーラ クラウドサービス)を提供している。専用チップ「DAU」(デジタルアニーリングユニット)が使われているが、これは内部で素子同士が自由に信号をやり取りできる全結合型の設計が特徴で、デジタル回路であるためノイズの影響を受けにくく、室温で安定動作できるという特徴がある。
第1世代のDAUは、1,024個のビット値が全結合で相互接続され、ビット間の結合の強さを65,536階調(16ビット)で細かく表現することができたが、今回の第2世代DAUはビット間全結合の規模が最大8,192ビット、結合精度を最大64ビットの1,845京階調まで拡張された。また、クラウドで利用できるだけでなく、オンプレミスに設置できるサーバー機として、「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer オンプレミスサービス」(デジタルアニーラ オンプレミスサービス)を製品化している。こちらは来年2月から出荷する。
事業戦略としては、今年11月にカナダに設立したAIビジネスをグローバルに展開する新会社「FUJITSU Intelligence Technology」が中核になって普及を図る。今年度内に、北米・欧州、その後アジア地域でも順次製品やサービスを展開していく。
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<関連リンク>:
富士通(デジタルアニーラ紹介サイト)
http://www.fujitsu.com/jp/digitalannealer/