帝人がMI導入に向けて日立製作所と協創を開始

データ利活用のためのCPS構築、R&Dポータルで連携促進

 2020.07.25−日立製作所と帝人は20日、新素材や複合化素材の研究開発におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた協創を開始すると発表した。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の本格的な導入を行い、サイバーフィジカルシステム(CPS)などデータ活用のためのシステム基盤を構築する。さらに、ニューノーマル時代のデジタル化の潮流をとらえ、データ駆動型の研究開発の加速に向けた新たな枠組みも検討していくという。

 帝人は、「中期経営計画 2020-2022」の中で、データ利活用による素材開発の高度化を掲げ、研究開発スピードの向上と開発力強化を達成するための検討を進めている。今回の協創はその取り組みの一環になる。これに先立ち、両社は課題抽出や対策立案を行うワークショップを重ね、データ利活用とシステム基盤の導入に向けた検証を実施。一定の効果を確認したうえで、日立の「Lumada」で展開されるソリューションや技術を活用し、DX実現に向けたグランドデザインの検討を開始した。

 本格的なMIを推進するために重要なデータについては、研究者や組織ごとに有する実験データなどを収集し、データレイクを構築して統一的に蓄積するほか、データをフィジカル空間からサイバー空間に取り出して、AIなどのデジタル技術で分析・知識化し、研究者間で研究手法や研究データを共有できるようにしていく。こうしたCPSを利用し、サイバー空間の分析結果をフィジカル空間に再度フィードバックする循環を繰り返し行うことで、MIを加速することが可能になる。

 とくに、社内技術情報や社外の特許情報などからテキストマイニングによって知識を加工・抽出。実験室や分析室などで個別に生成される実験データや実験条件などのメタデータの関係をひもづけ、データを構造化し、総合的な実験データの解析が行えるようにする。また、AIを利用することで、電子顕微鏡画像から素材の成り立ちをなどをとらえられる形態指標を抽出する機能を実現し、データの意味付けや解釈の定量性を高めることを目指していく。

 実際のMI実施に当たっては、日立のMIサービス「材料開発ソリューション」と連携させ、専門のデータサイエンティストの協力により、テーマに合わせた高度な機械学習や分析の支援を提供する。

 さらに、「R&Dポータルサイト」を新たに構築し、統合データベースに蓄積された情報や各部署の技術・ノウハウを見える化して、人と組織の連携を活性化することで開発スピード向上を図る。研究者同士のコミュニケーションに利用できるほか、研究活動で得た知識を効率良く整理し、統合データベースに記録された情報をAIが分析して新たな着想の示唆を与えるなどの機能も組み込まれる。

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<関連リンク>:

日立製作所(Lumada 紹介ページ)
https://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/

日立製作所(材料開発ソリューション紹介ページ)
https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/app/mi/


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