- 「STNext」が浸透し利用割合80%超へ、システム制限値を緩和
2019.08.15−化学情報協会(JAICI)が提供している「STNext」が機能強化され、利用頻度も向上していることがわかった。7月に東京・大阪で実施されたSTNユーザーミーティングで最新機能が披露されたもの。今回のユーザーミーティングはプログラム全体がほぼ「STNext」に焦点を当てたものとなった。特許・文献・物質情報などを調査するためのプロフェッショナル向け検索ツールで、システム制限が緩和され、1億件までのヒットが可能になったとともに、検索スピードも大幅に向上した。JAICIでは、STNユーザー向けにさらに利用を広げることを呼びかけていく。
- モルシスの「MOE」で結合自由エネルギー計算、活性の変化を評価
2019.08.22−モルシスが提供している統合計算化学システム「MOE」(米CCG社製)最新バージョンに搭載された新機能が注目されている。医薬品分子設計において、受容体とリガンドとの結合自由エネルギーを高精度に計算する技術で、分子構造の微小な変化による活性の向上を予測することができるため、リードオプティマイゼーションを行う際に大きな武器となる。米カリフォルニア大学などで開発されている分子動力学法(MD)プログラム「AMBER」の最新版で利用できるサーモダイナミックインテグレーション法(TI)を利用したもの。この分野は、米シュレーディンガーがフリーエナジーパータベーション法(FEP)に基づく「FEP+」でシェアを握っており、その勢力争いも注目される。
- 東工大の「TSUBAME3.0」が仮想GPUを利用したVDI装備、最大240人接続
2019.08.24−東京工業大学とエヌビディアは22日、スーパーコンピューター「TSUBAME 3.0」を拡張し、GPU(グラフィックプロセッサー)を利用したVDI(バーチャルデスクトップインフラストラクチャー)システムを導入したと発表した。NVIDIA仮想GPU技術が採用されたもので、一般的なPCやタブレットなどを端末として利用する場合でも、高性能ワークステーションからスパコンに接続しているような感覚で利用できる。
- 分子機能研究所がインシリコ創薬受託研究サービス、低料金・高精度で
2019.09.05−分子機能研究所は、独自の研究ノウハウとソフトウエア技術を生かして、「MFDDインシリコ創薬受託研究サービス」を提供、順調に実績を重ねている。ウエット実験の経験も豊富なため、実験化学者らが理解しやすいかたちで計算化学の成果を適用できることが強みとなっている。今年から本格的にサービスを開始したが、計算化学スタッフがいない大学の研究室や企業からの依頼がほとんどで、最近はリピート注文も多くなっているという。受託した成果を含む研究が、論文になったり国際学会で発表されたりするケースも出てきているようだ。
- 逆合成解析で合成ルート探索、「SciFinder-n」に新機能
2019.09.20−化学物質および化学反応を網羅的に検索できる科学者向けサービス「SciFinder-n」に、人工知能(AI)を応用した逆合成解析による合成経路探索機能が追加された。現在は既知の反応ルールを当てはめているため新規物質の合成経路を予測することはできないが、有機合成化学者が文献を調査するなどの作業を大幅に軽減できるとして好評。SciFinder-nの操作の中で自然に利用できるため、「思ったよりも使いやすい」「全体の反応スキームがわかりので頭を整理しやすい」などの声が寄せられている。10日に開催されたSciFinderフォーラムでは今後の開発計画も説明され、未知反応の予測機能が年内にも利用可能になるという。
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