CCSニュースファイル
   2002年10−12月

  • CCS特集2002年秋

1部:総論業界動向

2部:各社のライフサイエンス戦略

 

  • 住商エレがWindows版結晶構造グラフィックソフトCrystalStudioを発売
     2002.10.02−住商エレクトロニクスは、豪クリスタルソフト社(本社・ビクトリア州、アンソニー・ジャーン社長)と販売代理店契約を締結、ウィンドウズ版結晶構造グラフィックソフト「Crystal Studio」(クリスタルスタジオ)の販売を開始した。パソコンの画面上に簡単な操作で美しい結晶構造を作成することができ、論文作成やプレゼンテーションに活躍する。結晶学、電子顕微鏡、材料科学、固体物理、無機化学などの研究や教育にも役立ち、ソフト価格は16万7,000円から。初年度200本の販売を見込んでいる。
  • 新生HPライフサイエンス事業担当ライオネル・ビーンズ氏インタビュー
     2002.10.11−新生HP(ヒューレット・パッカード)は、ライフサイエンス向けIT(情報技術)戦略を一段と強化する。旧コンパックと旧HPのそれぞれの強みを合体させ、ゲノム/プロテオミクスなどのバイオ研究分野だけでなく、健康・医療、さらには材料科学分野までを含めて幅広くコンピューターシミュレーション技術の展開を図っていく。「ライフサイエンスにITを適用するうえで当社が最も完全なソリューションを持っている」と述べるライオネル・ビーンズ氏(ワールドワイドライフ&マテリアルサイエンスグループマネジャー)に最近の市場動向や新生HPの事業戦略について聞いた。
  • NEDO技術評価委員会によって土井プロOCTAの事後評価がスタート
     2002.10.16−今年の3月で終了した経済産業省の大学連携型プロジェクト「高機能材料設計プラットホーム」(通称・土井プロジェクト)の技術的成果を問うための事後評価分科会が12日、東京・池袋で開催された。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)技術評価委員会の分科会として組織されたもので、プロジェクトの実施責任者だった名古屋大学の土井正男教授らのグループから評価委員に対して詳しい説明が行われた。分科会では、今年12月から来年1月にかけて第2回の会合を開いて評価を確定。来年2月−3月には最終報告書をまとめる。土井プロを通して開発された「OCTA」は、高分子材料のメソ領域を解析できる先鋭的なシステムだとされているが、具体的にどのような評価が下されるか注目される。
  • インフォコムがスイス・ジーンバイオと代理店契約、SWISS-PROTなど配給
     2002.10.17−インフォコムは、スイスのジュネーブバイオインフォマティクス(略称・ジーンバイオ、ロン.D.アペル会長)と代理店契約を締結し、欧州の中心的なバイオデータベース(DB)機関であるSIB(スイス・バイオインフォマティクス研究所)が提供しているたん白質DB製品の国内における販売活動を開始した。民間研究機関およびSIB製品を利用した製品を開発しているベンダーを対象にしたもの。DBを利用するための契約や送金でスイスと直接やり取りする繁雑さがなくなることに加え、契約期間中の解約や契約内容の変更にも柔軟に対応できるようになる。同社では、初年度に6−7サイト、約3,500万円、3年後には年間20サイトで約1億円の売り上げ規模を見込んでいる。
  • NTTソフトウェアがアノテーションツールなどバイオインフォ4製品を商品化
     2002.11.08−NTTソフトウェアは、遺伝子配列やマイクロアレイなどの解析データを効果的に視覚化することでゲノム研究を支援する「VISUALBIO」(商品名)シリーズを開発、11月から販売を開始した。アノテーションツール、クラスタリングツール、マイクロアレイビジュアルツール、発現解析ツールの4種類があり、初年度5,000万円の売り上げを見込んでいる。
  • STSがバイオインフォ市場向けにウィンドウの半導体ディスク装置を販売
     2002.11.09−サイエンス・テクノロジー・システムズ(略称=STS、本社・東京都渋谷区、福島信弘社長)は、バイオインフォマティクスや分子シミュレーションなどのアプリケーションを対象に、ウィンドウ(本社・大阪府吹田市、芦辺多津治社長)の高速半導体ディスク装置「Qikシリーズ」を提供するため、このほど販売代理店契約を締結した。大量のデータ処理におけるディスク装置のボトルネックを解消できるのが特徴で、研究スピードの向上に寄与するという。
  • 富士通とCLSがHPC機能強化でバイオインフォマティクス分野の共同研究
     2002.11.16−富士通とセレスター・レキシコ・サイエンシズ(CLS、土居洋文社長)は、バイオインフォマティクスをはじめとしたHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)分野で、スーパーコンピューターの性能および運用性向上に関する共同研究を開始した。CLSはこの成果を利用して遺伝子/たん白質の解析サービス事業を拡大。そのノウハウをフィードバックして、富士通は高性能HPCシステムの改良・開発に役立てる。今回の共同研究は2004年3月末が期限だが、実績によっては継続も視野に入れている。
  • 富士通とFQSがチトクロームP450薬物代謝ソフトを共同で製品化
     2002.12.07−富士通は5日、薬物候補化合物の代謝を予測することで新薬開発を効率化する「BioFrontier/P450」(バイオフロンティア)を富士通九州システムエンジニアリング(FQS)と共同開発し、販売を開始したと発表した。生体内で薬物などを分解する代表的な代謝酵素群である“チトクロームP450”の代謝反応データベース(DB)をもとにして、未知の代謝物を予測する仕組みで、新薬候補化合物の絞り込みに役立つ。ソフト価格はサイトライセンスで300万円、専用DBの使用料は年間200万円。今後2年間で国内100セットの販売を見込んでいる。
  • 菱化システムが加CCGのMOEをアジア市場でも販売・サポートを開始
     2002.12.09−菱化システムは、コンピューターケミストリーシステム(CCS)事業でアジア市場に進出する。加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)との総代理店契約を拡張し、日本だけでなく、韓国・シンガポール・中国・台湾市場に対しても販売と技術サポートを担当していく。同社は1997年からCCG製品を日本に紹介しており、CCS事業は1987年から手がけているが、海外に向けての事業展開は今回が初めて。当面、現地に特別な組織を設ける予定はないが、今回の実績が拡大すれば、同社が多種類のCCS製品群を幅広く扱っていることからして、海外事業が大きく広がる可能性もある。
  • CTCLSが独ジェノマティクスの遺伝子制御領域解析ソリューション
     2002.12.18−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、独ジェノマティクス社(トーマス・ワーナーCEO)と販売代理店契約を締結し、遺伝子制御領域に関する解析ソリューションの提供を開始した。専門のデータベース(DB)から解析ツールまでが豊富に揃っていることが特徴で、とくにDNAチップ/マイクロアレイで発現解析を行ったあとの研究ステップに有効なソフトとして注目されているという。ポストゲノム研究の新領域を開く有力製品と位置づけて、来年に向けて販売攻勢をかけていく。
  • 日本SGIがバイオ研究システム構築支援サービスBioSerendipを提供
     2002.12.25−日本SGIは24日、京都大学化学研究所(ICR)の協力を得て、バイオ研究システムの構築支援サービス「BioSerendip」(バイオセレンディップ)を提供開始すると発表した。ICRのバイオインフォマティクスセンターが開発したバイオ関連統合データベース(DB)検索システム「DBGET」、および同社が同センターと共同開発した各種システムを中核にしたもので、利用者は高度なIT(情報技術)のノウハウを必要とせず、バイオ研究に集中することができる。民間企業を中心に受注拡大を目指す。
  • インフォコムが創薬支援システムの最新版、ファーストディスカバリー2.5
     2002.12.28−インフォコムは、米シュレーディンガーが開発した創薬支援システムの最新版「ファーストディスカバリースイート2.5」(商品名)の提供を来年1月から開始する。ターゲットのたん白質の構造に合わせた薬物を設計する“ストラクチャーベースドラッグデザイン”(SBDD)に役立つ統合ツールで、この1年ほどで導入に勢いがつき、すでに国内で50−60サイトの実績を築くまでになっている。最新版は、計算精度や機能が大幅に向上しており、製薬会社などの民間向けに加え、大学などへの普及も期待できるという。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • WPC Expo2002:米マイクロソフト古川享副社長基調講演
     2002.10.18−東京ビッグサイトで16日に開幕した「WPC Expo2002」の基調講演に米マイクロソフトの古川享副社長(アドバンスドストラテジー&ポリシー担当)が登場、「デジタル時代のマイクロソフトのビジョン」と題してビジネスや家庭における新しいパソコン活用シーンを示した。具体的な製品として、「タブレットPC」、「スマートディスプレーズ」、「ウィンドウズXPメディアセンターエディション」が、日本のユーザーに対して初めて披露された。全体として、いつでも、どこでも、どんな状態でもパソコンが人間のパートナーとして生活やビジネスを支援する密接な存在となることを強調。とくに、机の前に座るのではなく、くつろいだ姿勢でパソコンを楽しもうという新しい提案が目を引いた。
  • 富士通が2006年に大規模基幹系システムにLinuxを本格採用へ
     2002.10.24−富士通は23日、Linuxを将来の基盤OS(基本ソフト)の1つと位置づけ、Linuxによる大規模基幹システムを2006年に実現させると発表した。従来からのUNIXやメインフレームで培ったミドルウエア技術とパッケージソフトをLinux上で本格展開するとともに、1,000名の製品開発陣と1万名規模の担当SE(システムエンジニア)部隊を来年度までにそろえていく。Linuxを大規模基幹系のアプリケーションに本格採用する計画を正面から示したのは同社が世界でも初になる。2006年時点で3,500億円の事業規模を想定している。
  • 米アスペンテックがハイプロテック製品との統合ロードマップを公表
     2002.11.08−プロセス産業専門IT(情報技術)ベンダーの米アスペンテクノロジー(アスペンテック)は、プラントにおけるあらゆるモデルデータを含む“プロセス資産”のライフサイクル管理を実現するエンジニアリングツール群である「アスペンエンジニアリングスイート」(商品名)の開発ロードマップを公表した。今年の6月に買収したハイプロテック製品群との統合がカギになっており、2003年夏から2004年末にかけて3段階に分けて統合化を進める。ユーザーの既存の投資を完全に保護しながら、統合製品への速やかな移行経路を提供していく考えだ。
  • NTT-MEがインターネットを介してペットに餌をやるサービスを開始
     2002.11.19−NTT-MEは、インターネットを介して自宅のペットの様子を観察したり、いつでも餌をあげたりすることができる「ペットコミュニケーションシステム iSeePet」(商品名)をアルファ・オメガソフト(本社・東京都港区、佐々木隆仁社長)と共同で製品化した。ルーターなどのネットワーク機器の選択・手配から接続・設定、設置工事・メンテナンスまでオールインワンでサービスする。価格は、初期費用が17万4,800円(カード分割可)に、月額3,900円が必要。順次低価格化も検討するが、当面はペットにお金をかける愛好家向けに売り込んでいく。
  • トップレイヤーネットワークスがネットワーク侵入防御システムを発売
     2002.11.19−トップレイヤーネットワークスジャパン(本社・東京都千代田区、ダン・トーマス代表取締役)は、外部からのネットワークに対する攻撃や不正な侵入を防御できるセキュリティシステム「Attack Mitigator IPS」(アタックミティゲーター)の4製品を販売開始した。専用のASICによって複合的な攻撃を検知・防御する仕組みで、ネットワークに対してほとんど遅延を生じさせないという特徴がある。同社によると、不正な侵入などを検知するシステムはこれまでもあったが、自動的に防御までを一貫して行う装置はこれが初めてだという。価格は295万円からで、初年度150セットの販売を見込んでいる。
  • エヌビディアが新型グラフィックチップGeForceFXを出荷開始、映画並みCG
     2002.12.07−グラフィック専用プロセッサー(GPU)最大手のエヌビディアは6日、従来の3倍近い実効性能を発揮する次世代チップ「GeForceFX」(商品名)の量産出荷を開始したことを国内で正式発表した。0.13マイクロメートルの銅配線プロセスを採用し、1億2,500万トランジスターを集積。これを搭載したパソコン用グラフィックカードは来年2月頃から店頭に並ぶ予定だという。
  • 米ロキシオのクリス・ゴログ社長兼CEOが会見、ナップスター合法的復活へ
     2002.12.13−音楽や映像をCDおよびDVDに書き込むためのソフトウエアの最大手である米ロキシオのクリス・ゴログ社長兼CEOが11日、都内で記者会見を行い、デジタルメディア市場の展望や同社の事業戦略などについて説明した。ゴログ社長は「ほとんどすべてのパソコンユーザーがデジタルコンテンツを楽しむ時代になってきている。コンテンツの入手法やディスクの焼き方など初心者には難しい面もあるが、楽しく使いやすいツールとサービスでそれを助けるのが当社の使命だ」と述べ、来年にはあらゆるデジタルコンテンツをまとめて扱うことができる新製品「デジタルメディアスイート」を発売することを明らかにした。また、注目のナップスター買収に関しては、「ナップスターというブランドそのものが最も重要だと考えている。合法的なサービスとしてナップスターを復活させることを目指す」とした。
  • 日本IBMがソフト専門コンピテンシーセンターを世界に先駆けて開設
     2002.12.13−日本IBMは11日、同社のミドルウエア製品を利用してシステムインテグレーション(SI)を行うパートナー企業が異機種混在のオープンな環境で動作検証やパフォーマンスチューニングなどを行うことができる専門施設「ソフトウエアコンピテンシーセンター」(略称・SWCOC)を東京・渋谷に開設した。先月、東京・晴海に設けたハードウエアのコンピテンシーセンターに次ぐもので、ソフト専用の検証施設はIBM全体でも今回の日本が初めて。同時に、これまで完全社外秘だったIBMソフトウエア技術情報を初めて外部に公開する。開設に当たって同社の大歳卓麻社長は「製品の障害に関する情報もできるかぎり公開したい。徹底的にオープンでやっていく」と話している。


ニュースファイルのトップに戻る