- トライポスの受託研究事業の売却先が米プロヴィッドファーマに決定
2007.01.06−事業売却を進めている米国の大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダー、トライポス社の受託研究部門の売却先が決まった。ニュージャージー州のプロヴィッド・ファーマシューティカルが相手で、金額は約200万ドル。3月末までに手続きが完了する。同社はすでにCCSソフト事業を2,560万ドルでベクターキャピタルに売却することを決めているため、これで実質的に会社全体を売り渡したことになる。個々の事業そのものは、それぞれ新しい体制で継続される。
- 米マックベクターがアクセルリスから分離・独立、遺伝子配列解析ソフト
2007.01.26−米アクセルリスから遺伝子配列解析ソフト事業が分離・独立するかたちで新会社「マックベクター」(米国ノースカロライナ州、ケビン・ケンドール社長兼CEO)が設立された。1月1日付で具体的な製品である「MacVector」の開発・販売が新会社に完全移行した。これにともない、国内での販売体制も変更され、セレスバイオサイエンス(本社・埼玉県戸田市、岩瀬雅之社長)が販売代理店として活動していくことになった。既存ユーザーのサポートもすべて引き継がれる。
- ヒューリンクスが結晶研究ソフトCrystalMaker最新版、Windows版出揃う
2007.01.30−ヒューリンクスは、このほど英クリスタルメーカーの結晶研究ソフトの最新版を販売開始した。主力製品の「CrystalMaker」が12周年の記念リリースとなっているほか、待望されていた電子線回折ツール「SingleCrystal」(シングルクリスタル)のWindows版も製品化された。2年前にCrystalMakerがWindowsに対応して以来、国内では販売数が2倍以上の成長を示してきており、同社としても今年はさらなる伸びを期待しているという。
- サイバネットシステムがライフサイエンス事業を再編、オープンアイを主軸に
2007.02.03−サイバネットシステムは、4月からライフサイエンス事業を再編する。米デイライトのケムインフォマティクス製品の取り扱いを3月末で停止し、米オープンアイサイエンティフィックソフトウエア社の製品を中心にした事業構造を確立させる。創薬支援プラットホームとしての統一を図ることで、パッケージの単品販売からソリューション志向への転換を進めていく。
- 菱化システムが米PQSの量子化学専用PCクラスター最新型を発売
2007.02.08−菱化システムは、米パラレルクアンタムソリューションズ(PQS)が開発した量子化学計算専用PCクラスター「QuantumCube」(クアンタムキューブ)の最新版を販売開始した。AMDのデュアルコアオプテロンを8個(16コア)または16個(32コア)搭載しており、PQS独自の非経験的分子軌道法ソフトが内蔵されている。このため、面倒な手間をかけず、すぐに計算を実行することが可能。最新版では、専用GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)環境が機能強化され、使いやすさがさらに向上した。価格は一式で336万円から。
- アクセルリスがDiscoveryStudio1.7を出荷開始、ファーマコフォア機能強化
2007.02.15−アクセルリスは、生命科学向け統合コンピューターケミストリーシステム(CCS)の最新版「Discovery
Studio 1.7」(ディスカバリースタジオ、DS1.7)を製品化し、このほど国内出荷を開始した。以前のUNIX版製品群からWindows環境へと機能の移行が一段と進んだほか、ファーマコフォアモデリング機能の強化、スクリプト言語を利用したカスタマイズ機能の搭載、さらに操作系が刷新されて使いやすさが大幅に向上したことが特徴。新規の販売とともに、旧製品の利用者の切り替えも進めていく。
- 米CASがオンライン検索サービスの最新版SciFinder2007をリリース
2007.02.21−米国化学会(ACS)のデータベース(DB)サービス部門であるケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、検索のためのクライアントソフトの最新版「SciFinder2007」を提供開始した。複数の検索によって得られた結果のなかから必要な情報を共有したり選別したりする“回答集合の演算機能”を新たに搭載した。国内でのサービスの販売や技術サポートは化学情報協会が担当している。
- アクセルリスがインドの開発拠点を年内に閉鎖、転職率の高さが問題に
2007.02.27−アクセルリスは、インドの開発拠点を年内に閉鎖し、撤退する方針を固めた。インド発の情報として通信社などが伝えるところによると、約60人のプログラマーが削減され、70万−90万ドルのレンジで損失が計上される模様。
- 富士通が合成経路設計支援システムを機能強化、知識ベースを付属
2007.02.28−富士通は、有機合成経路設計支援ソフトウエアを機能強化、商品名を一新し、「SynthPath
Explorer」(シンセパスエクスプローラー)バージョン1.0として、きょう28日から新発売する。目的の化学構造を入力すると、その化合物を得るための合成経路を3ステップまで自動的に導き出すことができる。東京大学の船津公人教授らのグループが開発した「AIPHOS」をベースにしたものだが、今回はプログラムを全面的に改良し、逆合成解析速度を4倍に高め、多くの合成前駆体を提案できるようにした。価格は200万円から。今後3年間に海外も合わせて100ライセンス、5億円の販売を見込む。
- 日立製作所がライフサイエンス推進事業部を3月末で解散・内部吸収
2007.03.01−日立製作所が、3月末でライスサイエンス推進事業部を解散することがわかった。ただ、事業をやめるわけではなく、対象を絞り込むとともに、約60人の現有スタッフを中央研究所や情報通信グループ、日立ハイテクノロジーズなどに振り分ける。IT(情報技術)業界のバイオインフォマティクス事業は2004年度から急激な落ち込みに転じており、各社とも事業の見直し、再構築、あるいは撤退を進めてきている。1990年代末から盛り上がったバイオインフォブームにひとまずの終止符が打たれたことを象徴するともいえそうだ。
- 富士通が分子モデリングソフトを刷新、新名称ScigressExplorerを採用
2007.03.15−富士通は、分子モデリングシステムの製品ラインを一新し、新たに「Scigress
Explorer」(サイグレスエクスプローラー)の名称で3月から販売を開始した。2000年4月に英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)から買収し、以後は独自でバージョンアップを続けてきていた「CACheファミリー」をベースにしたもの。低分子からたん白質までの幅広い系を対象とし、多種類の計算化学手法を適用して分子設計を行うことができる。全部で6種類のエディションを用意しており、フルセットのウルトラ版が280万円(教育機関は80万円)。
- NIIの佐藤寛子助教授らが体験型化学教育システム、分子間力を“体感”
2007.03.16−国立情報学研究所(NII)の佐藤寛子助教授らのグループは15日、高等学校の化学教育で利用できるコンピューター教材として「HaptiChem」(ハプティケム)を開発、同日からウェブサイトを通じて無償公開を開始したと発表した。バーチャルリアリティー(VR)技術を用いて、目にみえない微小な原子・分子の世界をリアルに“実体験”できるようにしたことが特徴。全国の高校を対象にシステム一式の貸し出しも行い、現場の意見や要望を吸い上げて、授業に役立つ機能を増やしていくことにしている。
- 米トライポスの株主が事業売却を承認、社員110人を新体制へ引き継ぎ
2007.03.20−米トライポスの株主が、ベクターキャピタルへの事業売却と会社清算を了承した。15日(現地時間)に臨時株主総会が開催され、決議されたもの。昨年11月の発表通り、コンピューターケミストリーシステム(CCS)事業が2,560万ドルで売却されることが決まった。
- インフォコムがADME関連の米子会社を解散、成長市場にリソース集中へ
2007.03.27−インフォコムは、米国のADME(吸収・分布・代謝・排出)受託試験機関であるアブソープションシステムズと共同で設立した連結子会社「ライトハウスデータソリューションズ」を21日付けで解散した。独自のADMEデータベース製品を開発・販売してきたが、インフォコムではADME関連事業は今後の発展が見込めないと判断、ストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)やパスウェイツールなどの成長分野に資源を集中していくことにした。
- 新生トライポスの経営陣が決定、CEOにMicrografxのホプキンス氏
2007.03.29−ベクターキャピタルへの売却が完了し、新生トライポスの経営陣が任命された。新社名は「トライポスディスカバリーインフォマティクス」となるようで、CEOには同じベクターグループの1社であるコーレルに買収されたマイクログラフィックスのCEOを務めていたジム・ホプキンス氏が就任した。
- FQSがADME関連事業を強化・拡充、受託によるインシリコサービスも
2007.03.30−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は29日、ADME(吸収・分布・代謝・排出)関連事業を強化し、ネットワーク経由でサービスしている「ADMEデータベース」の最新バージョン6を提供開始するとともに、顧客の化合物データをもとにADME特性を予測するなどの受託サービスを4月から新たに開始すると発表した。生体内での薬物動態に注目して、新薬の候補化合物の探索を支援することができる。データベース(DB)サービスは年間30件、受託サービスで年間200件の契約を見込んでいる。
**************<一般ITニュース>***************
- リアクションデザインのMFCコンソーシアムにホンダ・マツダなど5社新加入
2007.01.05−シミュレーションベンダーの米リアクション・デザインは、2年目に入った「モデル燃料コンソーシアム」に、本田技術研究所とマツダ、フォード、コノコ・フィリップス、カミンズの5社が新メンバーとして加入したことを明らかにした。大幅な排ガス低減と燃費向上を両立できる次世代自動車エンジン開発のための燃焼シミュレーション技術を確立することを目的としたもので、1年目からのメンバーに加えて合計で12社となった。日米欧のエンジン設計と燃料開発の両面にわたるノウハウが結集されつつあり、今後生み出される開発成果が注目される。
- Vista対応マシン247機種を一斉発表、マイクロソフトが発売直前イベント
2007.01.16−マイクロソフトは15日、WindowsVistaおよび2007オフィスの30日の一般発売に向けた各種キャンペーン展開、さらに国内パソコン関連業界との連携に基づき、対応製品群がいっせいに出そろったことを発表した。日本法人のダレン・ヒューストン社長は、「すでに企業向け出荷は開始されていて、自分自身も毎日使用しているが、家に帰っても楽しすぎてパソコンの前から離れられないほど」と述べ、過去で最も成功した発売になると自信を示した。今回の発表イベントには、国内メーカーの各社幹部も勢ぞろいしたが、Vista発売はパソコン業界として久しぶりのビッグイベントとあって、業界を挙げて盛り上げていこうとの強い意気込みを感じさせた。
- ワンダーウェアがプロセス業向け生産統合ソリューションに本腰
2007.01.17−ワンダーウェアは、プロセス産業の生産活動全体にわたる情報を統合し、刻々と変化するプラントの運転条件・稼働状況などの現場の情報をリアルタイムに把握しながら、最適な意思決定を下せるようにサポートするソリューションの国内での展開に本腰を入れる。ERP(エンタープライズリソースプランニング)などの基幹業務システムと連携させて、企業全体における製造・生産の最適化を探ることができる。国内では、生産系のソフトはいまだに手組みのものが多いが、共通プラットホームを持つパッケージを採用することによるメリットを訴えつつ、パートナー戦略を含めた体制固めを図る。
- WindowsHPCコンソーシアムが本格的に始動、性能検証・教育活動に力
2007.01.23−スーパーコンピューターに代表されるハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の大衆化を目指すWindowsHPCコンソーシアムが、このほど本格的に活動を開始した。同志社大学の寄付教育研究プロジェクトの一環として昨年4月に設立されたもので、マイクロソフトのHPC専用OS(基本ソフト)である「Windowsコンピュートクラスターサーバー」(WindowsCCS)を大学内に導入し、10月には検証が行える環境を整備していた。今回、デルなどの新メンバーも加入したことから、いよいよ対外活動を本格化させ、大学内システムの利用申請を具体的に受け付け、稼働・性能検証の作業に入っていく。
- マイクロソフトがVistaおよび2007オフィスを一般発売、45種のサービスも
2007.01.31−マイクロソフトは30日、WindowsVistaおよび2007オフィスを店頭で販売開始したと発表した。これらをプリインストールしたパソコンも18社/247機種が順次発売される。同時に、Vistaのユーザー体験を高めるための5分野/45種類のサービスを、41社のパートナーが提供することも明らかにされた。日本法人のダレン・ヒューストン社長は、「Vistaはエンターテインメント性がきわめて高く、使えば使うほど愛着がわいて、もう以前のWindowsXPには戻れなくなる。XPの2倍、ブームを起こしたWindows95の5倍は売れるだろう」と強い自信を示した。
- ターボリナックスが携帯型Linuxマシン「wizpy」の発売日・価格を決定
2007.02.01−ターボリナックスは31日、手のひらサイズの携帯型Linuxマシン「wizpy」(ウィズピー)の発売日・製品価格などを発表した。自社のオンラインショップで2月23日から、一般店頭では3月9日に発売する。自分のパソコン環境を丸ごとウィズピーに格納しておき、任意のパソコンに接続することで、どこででも自分のパソコン環境を立ち上げて利用することができるというもの。コンシューマー向けを先行させつつ、パートナーと協力して案件ベースで企業向けへの展開も進める。初年度5万台の出荷を目指す。
- マイクロソフトがSQLサーバー2005のSP2を提供、Excelでデータマイニング
2007.02.09−マイクロソフトは、データベース(DB)管理システム「SQLサーバー2005」を強化し、運用管理の自動化を実現するサービスパック2(SP2)と、そのもとで利用できる拡張ソフトを13日から無償で提供開始する。とくに、エクセルで作成した集計表を用いて簡単にデータマイニングを行う新機能を武器に、業務アプリケーションの基盤となるDBエンジンとしてさらなる普及を図っていく。
- オラクル:ライフサイエンス製品戦略担当クリシュナン副社長インタビュー
2007.03.09−オラクルは、“アプリケーションズ・アンリミテッド”戦略に基づき、2004年から200億ドル以上をかけた買収戦略で加えた製品群を一斉にバージョンアップし、最新版としてリリースした。その中でも、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)ソリューションの「シーベルCRM8.0」は、とくに製薬業向けで高いシェアを誇り、MR(医薬情報担当者)の活動をパワーアップするシステムとしての評価をグローバルに確立している。シーベル出身で、オラクル全体のライフサイエンス製品戦略担当を務めるラジャン・クリシュナン副社長に、日本のニーズを取り込んで強化した新機能など、対日戦略について聞いた。
- モデリング技術をプラント現場の技術継承問題の解決策として提案
2007.03.23−2007年問題などもあり、プラント現場でのベテランオペレーターやエンジニアの技術・技能の継承に大きな注目が集まっている。こうしたニーズを受け、モデリング技術を解決策にしようと、プロセスシミュレーションベンダーが提案活動を展開しはじめた。とくに、ブラックボックスとしてのプロセスモデルではなく、モデル化の基本原理をしっかり理解したうえでの技術者教育の重要性が認識されつつあり、外資系最大手のアスペンテックジャパンや、新進の国内ベンダーであるpreFEEDなどが、サービスやツールの提供に乗り出している。
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