- 化学情報協会:千原秀昭会長インタビュー、網羅性と検索機能でリード
2008.07.03−化学情報協会(JAICI)は、ワールドワイドな化学技術情報の流通を促進する目的で1971年に設立された。米国をはじめとする各国の情報機関との協力体制を築きながら、優れた情報源を国内の研究者に提供し、欧米との情報格差を解消するという意味で大きな役割を果たしてきている。とくに中心になるのはCAS(ケミカルアブストラクツサービス)データベース(DB)に関する事業で、CASのオンラインサービスである「STN」については、同協会が東京サービスセンターを単独で運用している。DBサービスはいまや研究開発に欠かせないインフラだが、千原秀昭会長(大阪大学名誉教授)に過去の経緯やSTNの特徴・利点などについて話を聞いた。
- FQSがADMEデータベースサービスを更新、ヒトと動物の種差を解析へ
2008.07.05−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、インターネット経由で薬物動態関連のデータベース(DB)検索が利用できる「ADMEデータベース」を更新し、バージョン11として提供を開始した。これは、チトクロームP450などヒトのADME(吸収・分布・代謝・排出)関連データを集めたものだが、今回の最新版はマウスなどの動物のADMEデータを追加したことが最大の特徴。ヒトと動物の薬物吸収率や代謝の違いなど、種差を考慮に入れた解析が可能になった。利用料金は、フルパックで企業・公的研究機関向け年間157万5,000円、教育機関向け52万5,000円。1年間に30件の契約を見込む。
- トムソン・ロイターがバイオマーカー情報の新サービス、Integrityに統合
2008.7.9−トムソン・ロイターは、医薬品の研究開発および臨床研究で利用できるバイオマーカー情報を提供する新サービス「バイオマーカーセンター」をリリースした。製薬業向け統合ポータルサービスである「Integrity」のオプションとして組み込まれたもの。6分野/500以上のバイオマーカー情報を収録している。
- 菱化システムがCHEMKINの最新上位製品をリリースへ、フルオプション
2008.07.10−菱化システムは、米リアクション・デザインが開発した燃焼シミュレーションソフトの最新版「CHEMKIN-PRO」のベータ版リリースを開始した。フルオプションの上位製品として開発されているもので、“リアクションパスアナライザー”や“パーティクルトラッキングモジュール”といった新機能が搭載される。同社では、正式版の発売に合わせて価格体系の改定を検討しており、古いフリー版を使用しているアカデミックユーザーに更新を促すことをターゲットにしたい考え。
- ケンブリッジソフトがChemBioOfficeのワークグループ版を推進
2008.07.25−ケンブリッジソフトは、化学・製薬業向けインフォマティクスプラットホーム製品「ChemBioOffice2008」で、デスクトップ版とエンタープライズ版の間に位置するワークグループ版の提案活動を強化する。オラクルがベースとなるエンタープライズ版と異なり、ワークグループ版はSQLサーバーをベースにしているため、50ユーザー程度までなら保守管理が比較的容易。デスクトップ製品を使用しているユーザーのステップアップとして最適な機能を備えている。
- シミックス・ジャパンが電子実験ノート統合製品を本格展開、万能型を志向
2008.08.01−シミックス・テクノロジーズ・ジャパンは、電子実験ノートブック(ELN)の統合製品「SymyxNotebookバージョン6」の事業展開に拍車をかける。有機合成実験を行うメディシナルケミストリーだけでなく、幅広い研究者の業務に役立つ万能型(ユニバーサル)ノートブックだと位置づけており、用途を広げるための機能強化を順次実施していく。また、具体的な導入を行う際のシステム構築を支援するため、CTCラボラトリーシステムズおよび新日鉄ソリューションズとパートナー契約を結んだ。
- NECソフトがプロテオミクス研究支援システムを本格事業化、TR推進も
2008.08.08−NECソフトは、プロテオミクス研究を支援するとともに、実験データを臨床情報と関連づけてトランスレーショナルリサーチ(TR)推進のための情報基盤としても役立つシステム「BIOPRISM」(バイオプリズム)を販売開始した。研究サンプル、実験の詳細、実験データおよび解析結果を統合的に一元管理するとともに、検体にかかわる患者情報を匿名化してサンプルに関連づけることで、各種の臨床情報までもまとめて管理することが可能。価格は標準構成で400万円から。今後3年間に50セット/2億5,000万円の売り上げを見込んでいる。
- 富士通とFQSがADMEWORKSに独自のモデル手法を導入、100%分類
2008.08.13−富士通と富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、化合物のさまざまな特性を予測できるモデリングシステム「ADMEWORKS」の最新バージョンに、予測精度を大幅に高める独自の新手法“KY法”(K-step Yard sampling)を導入した。予測モデル構築のためのサンプルデータのパターン分類において、100%の分類率を初めて実現した。最終的なモデルの予測率は、この分類率を超えることができないため、予測精度を高めるためには分類率を引き上げることがポイントになるという。とくに、従来手法で分類率を高めることが難しかった“毒性”をターゲットにして、100%分類を達成できたことに大きな意味があるとしている。
- 富士通が新統合プラットホーム「SCIGRESS」を本格リリース
2008.08.29−富士通は、計算化学のための統合プラットホームソフト「SCIGRESS」(サイグレス)のバージョン1.1を8月からリリース、本格販売を開始した。自社製の計算エンジンだけでなく、サードパーティー製品やアカデミックコードなどの外部エンジンを柔軟に取り入れることが可能。バージョン1.1では、文部科学省プロジェクト「革新的シミュレーションソフトウエアの研究開発」で開発されたナノ材料向けシミュレーター「PHASE」、および蘭サイエンティフィックコンピューティング&モデリング(SCM)の密度汎関数法ソフト「ADF」とのインターフェースを実現している。同社では、9月22日まで新発売キャンペーンを行い、次期戦略プラットホームとして早期の立ち上げを図る。
- FQSがADMEデータベースの最新バージョン12、ヒトと動物のデータ増加
2008.09.27−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、ADME(吸収・分布・代謝・排出)データベースのオンラインサービスを機能強化し、10月1日からバージョン12として提供開始する。今回のバージョンアップでは、ヒトとラットを中心に約2,000件の薬物動態データを追加し、内容をさらに充実させた。総データ件数は4万8,000件を超える大規模なデータベースとなる。年間利用料金は、一般向け157万5,000円から、教育機関向け52万5,000円から。1年間に新たに30契約を見込んでいる。
- FQSが薬物体内動態・毒性予測のコマンドラインツールを開発
2008.09.30−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、大量の化合物を対象にした物性予測を高速に行うことができる「ADMEWORKS/CMDPredictor」(CMDプレディクター」を開発、10月1日から新発売すると発表した。50万件の化合物の溶解度を3時間以内で評価することが可能。コマンドラインから利用するプログラムなので、ワークフローツールなど他のシステムへの組み込みや統合も容易。価格は262万5,000円からで、年間に50件の契約を見込んでいる。
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- マルタ共和国のセキュリティベンダー・GFIソフトが日本市場に進出
2008.07.11−マルタ共和国のセキュリティソフトベンダー、GFIソフトウェアは9日、ネクスト・イット(東京都品川区、仲西敏雄代表取締役)と代理店契約を締結し、日本市場に進出したと発表した。中堅・中小企業向けのSMB市場で豊富な実績を持ち、高性能・高品質の製品を低価格で提供することを武器としている。コンテンツセキュリティ、ネットワークセキュリティ、メッセージングの3分野に対応した製品群を包括的に揃えていることも特徴。3年以内に、日本市場で年間5億円の売り上げを目指している。
- SASが環境対応のサステナビリティソリューション、二酸化炭素排出量算定
2008.07.11−SAS Institute Japanは9日、企業が社会的責任をふさわしく果たすサステナビリティ(持続可能性)経営を行うことを支援する観点で、新たに環境ソリューションを提供すると発表した。企業活動にともなう二酸化炭素排出量を定義し、収益性と環境配慮を両立させる最適なバランスをシミュレーションすることが可能。排出権取引など、新しい市場のリスク管理などにも対応することができる。ソフトウエアのライセンス価格は最小構成で約3,000万円。25日から出荷開始するが、年内に5社程度の受注を見込む。
- アイログが環境対応型のSCMソリューション、環境に配慮して全体最適
2008.07.25−アイログは、環境対応を配慮したサプライチェーンネットワークを実現できるSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューション「ILOG
LogicNet Plus 6.0 XE」を国内で販売開始した。サプライチェーンにおける二酸化炭素排出量を算出し、それとコスト・配送・サービスレベルの間での最適解をシミュレーションする機能を備えている。原燃料の高騰下におけるコスト削減対策にも有効。価格は1,800万円からで、初年度に5社の受注を見込んでいる。
- マイクロソフトが外来語カタカナ末尾の長音表記ルールを変更
2008.07.29−マイクロソフトは25日、外来語カタカナ表記の末尾の長音表記を変更すると発表した。「コンピュータ」や「プリンタ」など、いわゆる理工系的な表記だったものを、「コンピューター」や「プリンター」のように長音を表記したものに改める。すべての製品・サービスのそれぞれ次期バージョンからこのルールを採用し、関連するマニュアルやヘルプ、ウェブドキュメントなどのすべての表記を変更する。ただし、現在および過去のドキュメントにまでは手をつけない。同社では、自然な表記・自然な発音に基づく変更として、ユーザーのメリットになると説明している。
- マイクロソフトがWindowsホームサーバー日本語版、動画など簡単に共有
2008.08.21−マイクロソフトは20日、家庭やSOHO向けの新しいWindowsサーバー製品として、「Windowsホームサーバー日本語版」を30日から提供開始すると発表した。このOS(基本ソフト)を搭載したハードウエアがパートナー企業15社から順次発売されるほか、自作機などでも利用できるようにDSP版(PCパーツとの同時販売)も用意される。複数のパソコンで写真やビデオ、音楽などのデジタルコンテンツを簡単に共有できるのが特徴。遠隔地からホームサーバー内のコンテンツを楽しんだり、ホームサーバーと接続している自宅PCをリモートコントロールしたりすることも可能。
- ソースネクストがUSBメモリーでパソコンソフトを供給、インストールも高速
2008.08.29−ソースネクストは27日、パソコンソフトを販売する際の媒体として、従来のCD-ROMに代わってUSBメモリーを採用すると発表した。「Uメモ」シリーズの名称で、まず9月5日に主力タイトル7製品を発売する。使用しているのは1ギガバイトのUSBメモリーで、媒体のコストは高くなるが、販売価格は現行のCD-ROM版と同等に抑える。初年度100万本の販売を見込む。同社では、ウルトラモバイルPCなど、光学ドライブを搭載していないパソコンが人気になっていることなどを理由に、将来的にはUSBメモリーでのソフト供給が主流になると判断。業界を先取りして全面転換を視野に入れることにした。
- マイクロソフトがIE8の日本語ベータ2、大幅機能強化で速い・便利・安心
2008.09.03−マイクロソフトは、インターネットエクスプローラーの次期バージョン8(IE8)の日本語ベータ2を、8月28日から提供開始した。企業のIT管理者やウェブ開発者、先進ユーザーなどからのレスポンスを集め、正式版に反映させる。ウェブの標準規格に準拠するとともに、ブラウジング速度を大幅に向上させたことが特徴で、使い勝手を高めるための新機能を多数盛り込んだ。機能性に対する理解を深めてもらうため、これまでのベータ版では導入に関する質問しか受け付けなかったが、今回は使い方についての質問にも応じるという。正式版の提供時期はいまのところ未定。
- クレイが初のインテル搭載Windowsスーパーコンピューター、最大64コア
2008.09.18−クレイ・ジャパン・インクは17日、クレイブランドのスーパーコンピューターとして初めてインテルプロセッサーを搭載し、OSにWindowsを採用した「CRAY CX1」を開発、販売開始すると発表した。デスクサイド型のコンパクトな本体にジーオンプロセッサーを最大16個(64コア)内蔵可能で、最大性能は0.76テラFLOPSに達する。通常のオフィス環境に設置でき、静音性も考慮されている。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)市場の大衆化を達成するための戦略商品として、マイクロソフトと共同マーケティングを展開していく。来年1年間で200台以上の販売を目指す。
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