総論:昨年の市場動向
主要ベンダー各社の戦略:アクセルリス、アドバンスソフト、アドバンスドテクノロジーインスティテュート、ケムインフォナビ、コンフレックス、サイバネットシステム、ダイキン工業、Elsevier MDL、富士通九州システムエンジニアリング、富士通、日立ソフト、ヒューリンクス、インフォコム、日本総合研究所、科学技術振興機構、マトリックスサイエンス、ナノシミュレーション、NEC、NECソフト、ノーザンサイエンスコンサルティング、リミックスポイント、菱化システム、住商エレクトロニクス、サイエンス・テクノロジー・システムズ、トムソンサイエンティフィック、ウェイブファンクション (アルファベット順)
- 菱化システムが米デイライト製品をMOE/KDEと統合して販売
2005.04.02−菱化システムは、化学データベース管理システムベンダーの米デイライトケミカルインフォメーションシステムズと代理店契約を締結、4月から国内での販売活動を開始した。デイライト製品は、大量の化合物データを保存・管理し、高速で処理するためのツール群から構成されており、幅広いコンピューターケミストリーアプリケーションのプラットホームとして利用することができる。菱化システムでは、開発元同士が提携関係にある分子モデリングシステム「MOE」、データマイニングツール「KDE」との組み合わせで販売を行う。システム構築に時間や手間をかけず、高機能で使いやすい統合研究環境を実現できるというメリットがある。
- NECがプロテオーム解析専用統合研究支援システムBioPrismを開発
2005.04.26−NECは25日、プロテオーム解析のための総合研究支援システム「BioPrism」を開発、販売を開始したと発表した。研究室で扱うサンプルおよび実験データを統合管理することができ、たん白質解析のためのプロトコル作成からデータ解析まで研究者の作業を一貫して支援することができる。システムは機能ごとにモジュール化されており、個々の実験室の必要に応じて柔軟に選択して導入することが可能。価格は、小規模研究室向けのコンパクトモデルが300万円から、大規模研究実に対応できるプロフェッショナルモデルが500万円からで、今後3年間に100システムの販売を見込んでいる。
- アクセルリスのナノテクコンソーシアムに日本企業含む14社が加入
2005.04.27−アクセルリスは、昨年7月からスタートさせた「ナノテクノロジーコンソーシアム」に現在までに14社のメンバーを集めた。これには、日本の化学会社2社と2つの大学が含まれている。このコンソーシアムは、センサーや半導体デバイス、高機能材料などのナノテクノロジー分野の研究開発を支援する統合ソフトウエア技術の実用化を目指すもので、期間は2007年6月まで。すでに数千原子の大規模な系に対応できる量子化学計算プログラム「ONETEP」のリリースも行われており、メンバーはこれらのソフトを用いて実際に研究を進めることが可能。アクセルリスでは、追加募集活動をさらに強化していく。
- アイピーフレックスが高性能プロセッサーでバイオインフォ市場に進出
2005.05.17−ファブレス半導体メーカーのアイピーフレックス(本社・東京都品川区、萩島功一社長)は、独自のダイナミックリコンフィギュラブル(動的再構成可能)プロセッサー「DAPDNA-2」(商品名)の新用途として、バイオインフォマティクス市場に進出する。これは、チップ内の回路構成を瞬時に変更することでさまざまな機能を現出させたり切り替えたりすることができるプロセッサー。米国立衛生研究所(NIH)のプロテオミクス関連プロジェクトに採用される見込みで、この分野への適合性が証明できたとして本格的な市場開拓を進める。高い処理性能を求める計算化学/コンピューターケミストリー分野への応用も期待される。
- NECとインフォコムがプロテオーム研究支援ソリューションで提携
2005.05.18−NECとインフォコムは17日、プロテオーム研究支援システムでそれぞれのソリューションを連携させ、相互に製品を販売し合うことで合意したと発表した。具体的には、NECの「BIOPRISM」とインフォコムが販売権を持つ加バイオインフォマティクスソリューションズ(BSI)の「PEAKS」を組み合わせたもの。プロテオーム研究の幅広い領域を包括的にサポートできるようになる。今回の提携を通し、NECでは年間数千万−1億数千万円の販売を見込んでいる。
- プロウスサイエンスが医薬研究支援ポータル「インテグリティ」を機能強化
2005.05.19−スペインのプロウスサイエンスと国内代理店のユサコは、医薬品研究開発を支援するインターネットベースの総合情報サービス「インテグリティ」の機能を大幅に強化した。創薬ターゲットの切り口で薬物情報や薬物動態/代謝、治験、疾病情報、文献、特許などの広範な知識にワンクリックでアクセスすることが可能になったため、有用性が高まった。昨年から本格的に国内で紹介を開始し、すでに30機関との契約実績をあげているが、今後は大手製薬企業だけでなく、さらにバイオベンチャーや大学(薬学部・医学部)などへの導入を狙っていく。将来的には3ケタの契約数を目指す。
- アクセルリスがAccordエンタープライズでケムインフォ市場に本腰
2005.05.28−アクセルリスは、化学情報管理を中心にしたケムインフォマティクスソリューション「Accord
エンタープライズインフォマティクス」を製品化した。国内でも本格的な事業体制を整え、最新版6.0として販売を開始した。IT(情報技術)の業界標準をベースに、データベース(DB)アプリケーションの開発から実行環境までを体系的に整えたもの。同社では、日本法人内に専任のアプリケーション技術者とシステム開発者を採用するとともに、開発やシステムインテグレーション(SI)のためにパートナー6社と提携した。この市場では、Elsevier
MDL(エルゼビアMDL)がトップの地位を築いているが、これと正面から対決し積極的なリプレースを狙う計画。今後のせめぎ合いが注目される。
- 材料設計支援システムOCTAが普及に一段と弾み、CD-ROM
好評
2005.06.03−大学連携型経済産業省プロジェクトで開発された材料設計支援システム「OCTA」の普及に向け、ここへきて一段と弾みがつきはじめている。インストーラー付きのCD-ROMを作成して4月25日から受け付けを開始したところ、1ヵ月間で50枚の注文が寄せられた。サポートや情報交換のためのBBS(電子会議室)への登録者もそれ以来増加しはじめ、現在では約980人に達している。開発のリーダーを務めた東京大学大学院の土井正男教授は「導入の敷居を少しでも下げたいとつくったCD版だったが、予想外の反響に驚いている。これからも、普及に向けても知恵を絞っていきたい」という。
- ファステクノロジーがAccord向け試薬DB専用クライアントを開発
2005.06.07−ファステクノロジー(本社・東京都豊島区、樊延海社長)は、アクセルリスの統合化学情報管理システム「Accord」で試薬データベース(DB)を簡単に利用できるようにする専用パッケージ「CAPNavi」を開発した。使いやすいウェブインターフェースを備えており、開発なしですぐに使用することができる。
- 菱化システムが米IOインフォマティクスの電子ノートソフトを発売
2005.06.16−菱化システムは、米IOインフォマティクス(本社・カリフォルニア州、パトリシア・ローグ社長)と代理店契約を締結し、電子ノートブックソフト「Sentient
Desktop」(センシェントデスクトップ)を販売開始した。各種実験計測装置の画像データや分析データ、テキスト情報などを電子化して蓄積することができる。研究活動でコンピューターを利用している人に対する支援ツールとしての機能を充実させており、個人あるいはグループの生産性を向上させることができる。ソフト価格は、3年間ライセンスで453万6,000円。
**************<一般ITニュース>***************
- マイクロソフトがWindowsサーバー2003のSP1を提供開始、セキュリティ強化
2005.04.01−マイクロソフトは、Windowsサーバー2003のサービスパック1(SP1)を開発し、3月31日からダウンロードにて提供を開始した。まずは英語版だけだが、2ヵ月以内に日本語を含む18ヵ国語への対応を完了させる。セキュリティを高めるための新機能が追加されており、同社では既存のWindowsサーバー2003ユーザーのすべてがSP1を適用するように促すとともに、以前のWindowsNTやWindows2000サーバーを利用している企業に対して、この機会にバージョンアップするよう強力に働きかけていく。
- 米リアクション・デザインが菱化システムと代理店契約、対日戦略強化
2005.04.13−複雑な化学反応機構をシミュレーションする特異な技術を持つ米リアクション・デザイン(本社・カリフォルニア州、バーニー・ローゼンタール社長兼CEO)は、対日戦略をあらためて強化する方針を打ち出し、新たに菱化システムと販売代理店契約を締結した。ナノテクノロジー領域のミクロからバルクケミカルのマクロレベルまでの気相および固体表面における化学反応を精密に解析できる「CHEMKIN」と「KINetics」の普及を加速させる。とくに、次世代の半導体デバイス開発やナノテク・環境関連などの先端化学プロセス開発を重点領域として拡大を図る。三菱化学のグループ会社で科学技術計算に強い菱化システムとの提携で市場拡大を狙う。
- オラクルとピープルソフト合併後の新戦略を公表、3社製品を継続強化
2005.04.20−米オラクルと日本ピープルソフトは19日、統合後の製品戦略などについて会見を開き、合併の進行状況や将来の統合製品の計画を明らかにした。今回の合併により、基幹業務パッケージベンダーであるオラクルとピープルソフト、JDエドワーズの3社が統合されたことになるが、引き続きそれぞれの製品を強化しながら、各製品の統合化を目指す“プロジェクトフュージョン”をこのほどスタートさせた。年内に詳しい構想を明らかにし、2006年にミドルウエアレベルで統合環境を固めたあと、2007年から具体的にアプリケーションの提供を開始していくという。
- マイクロソフトがx64対応のWindowsサーバー2003、6月1日提供開始
2005.05.17−マイクロソフトは16日、64ビットマイクロプロセッサーに対応した「Windowsサーバー2003
x64エディション日本語版」を6月1日から提供開始すると発表した。AMD64とインテルEM64Tプロセッサーに対応しており、既存の32ビットアプリケーションを動作させることも可能なため、PCサーバーの64ビット化を一気に進展させる起爆剤になると期待されている。32ビット版と同様にスタンダード版、エンタープライズ版、データセンター版の3種類が用意されており、OS(基本ソフト)としてのライセンス料は同じ。32ビット版を使用しているユーザーが今回のx64版にリーズナブルに移行できるようにするキャンペーンも行う。
- マイクロソフトがWindowsXP
x64エディションを6月1日発売、WOW64搭載
2005.05.25−マイクロソフトは24日、AMD64とインテルEM64Tプロセッサーに対応した「WindowsXPプロフェッショナルx64エディション」日本語版を開発、6月1日から提供開始すると発表した。当初は、科学技術計算などのエンジニアリング用途やマニアユーザー向けを中心とするが、2006年中にはこのx64版がパソコン市場の主流になるとしている。ライセンス価格は現行の32ビット版XPと同じだが、小売り用のパッケージやアップグレードパスは用意されない。自作ユーザー向けにパーツとのバンドル販売は行われる。
- 米リアクション・デザイン:ローゼンタール新CEOインタビュー
2005.06.21−詳細化学反応シミュレーター「CHEMKIN」で知られる米リアクション・デザインは、今年の2月末に新しいCEOとして、バーニー・ローゼンタール氏を迎えた。同氏の前職はテンシリカ社の上級副社長で、20年以上にわたってEDA(エレクトロニック・デザインオートメーション)分野で活動してきた経験を持つ。同社はこれまで、テクノロジー(ソフトパッケージ)の提供を中心にしてきたが、今後は産業ごとにフォーカスしたソリューションプロバイダーの方向に大きく舵をとっていきたいという。とくに、ガスタービン、自動車、化学(触媒)などのアプリケーションに力を注ぐ。
- マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が次世代検索技術を披露
2005.06.30−マイクロソフトは27日、「次世代検索を語る」と題して都内でセミナーを開催した。ビル・ゲイツ会長兼CSA(チーフソフトウエアアーキテクト)が登壇し、日本語版を提供開始したばかりの新しい検索技術である「MSNサーチ」、「MSNサーチツールバー」、「Windowsデスクトップサーチ」を紹介、「リッチな検索機能によって、将来の情報整理のやり方は変わる。これらはロングホーン(次期Windowsの開発コード名)で実現する機能をWindowsXP上で先取りしたものであり、たいへんリッチな機能ではあるが始まりに過ぎない」として、開発中の次世代検索技術のいくつかにも言及した。
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