CCSニュースファイル
   2004年4−6月

  • CCS特集2004年春

総論:昨年の市場動向

主要ベンダー各社の戦略:アクセルリスアドバンスソフトアドバンスドテクノロジーインスティテュートベストシステムズ日本バイオ・ラッド ラボラトリーズコンフレックスCTCラボラトリーシステムズダイキン工業富士通九州システムエンジニアリング富士総合研究所富士通ヒューリンクス医薬分子設計研究所インフォコム日本電子/日本電子データム日本総合研究所エルエイシステムズ日本MDLインフォメーションシステムズ三井情報開発ナノシミュレーションNECNECソフト菱化システム住商エレクトロニクスサイエンス・テクノロジー・システムズトムソンサイエンティフィックウェイブファンクション (アルファベット順)

 

  • 日立ソフトとDNAチップ研究所がGNIにヒトDNAチップ供給で長期契約
     2004.04.02−日立ソフトとDNAチップ研究所は3月31日、創薬ベンチャーのジーエヌアイ(本社・東京都渋谷区、サボイ・クリストファー社長)に高感度オリゴDNAチップ「AceGene」(エースジーン)を供給することで長期契約を結んだと発表した。今後2年間に数千枚を供給していく予定。ヒト遺伝子全体の幅広いパスウェイと遺伝子間の相互作用を究明することで、合理的なアプローチによる新薬開発を目指すGNI独特の“システム創薬”の推進に活用していく。
  • アクセルリスが配合設計支援システムを東洋ゴム工業に導入
     2004.04.03−アクセルリスは、東洋ゴム工業に配合設計支援システム「マテリアルスタジオFAST FDS」(商品名)を導入した。ゴムやプラスチックなどのフォーミュレーションのデータベース(DB)化を実現することにより、実験の重複やムダを省いて、効率良く最適配合設計が行えるようにする。海外では10社ほどの導入実績があるが、今回が国内の第1号ユーザーに当たる。
  • NECとNEC情報システムズがグリッド応用で理研と共同研究
     2004.04.07−NECとNEC情報システムズは5日、理化学研究所との間でグリッド技術をバイオインフォマティクス分野に応用するための共同研究契約を締結したと発表した。相同性検索プログラムBLASTを事例にして、グリッドでコンピューターリソースを使用させる際の最適な課金方式や信頼性を向上させる方法などについて、検討・実装・評価を行っていく。共同研究の期間は2年間となる。
  • NECソフトがバイオグリッドソリューション、BLASTなどを標準装備
     2004.04.24−NECソフトは22日、グリッドコンピューティング環境でバイオインフォマティクスのアプリケーションを効率的に動作させるためのソリューション「BioCollabo」(バイオコラボ)を開発、6月30日から発売すると発表した。この分野でよく利用されるホモロジー検索ツールBLAST、マルチプルアライメントツールClustalW、モチーフ検索ツールHMMERなどのプログラムを標準装備しており、導入してすぐに研究に利用することが可能。価格は最小構成の16ノードまでで298万円。同社では、今後3年間に50セット、システムインテグレーション(SI)サービスなども含めて6億円の売り上げを見込んでいる。
  • ヒューリンクスが一挙に7社と販売提携しCCS事業を大幅強化
     2004.04.27−アルゴグラフィックスグループのヒューリンクス(本社・東京都渋谷区、滝沢治雄社長)は、新薬や機能材料の研究を支援するコンピューターケミストリーシステム(CCS)事業を大幅に強化する。まずは、創薬・ライフサイエンス分野に的を絞って、欧米の先進ベンダー7社と一挙に販売契約を締結した。既存のCCS製品群と合わせて、創薬研究をフルにサポートできるラインアップが整った。同社では、これを機にパッケージソフトを単純に販売するスタイルからソリューションプロバイダーへの本格的な転身を図る計画。2年後には、パッケージ販売とソリューションビジネスの売り上げ比率を5対5の水準にもっていく。
  • 日本総研がJ-OCTA製品版を本格事業化、予約者にはベータ版を提供
     2004.05.13−日本総合研究所は、ナノ・バイオテクノロジー研究に向けた次世代材料設計支援システム「J-OCTA」(商品名)の本格的な販売活動を開始した。2002年3月まで実施された経済産業省プロジェクト「高機能材料設計プラットホームの開発」(通称・土井プロジェクト)の成果をベースにしたもので、予約販売という形で協賛企業を募り、3年間の商用化プロジェクトを推進してきた。このほど、予約者にベータ版をリリースするとともに、プロジェクトの母体を開発部門から事業部へ移し、本格的な事業体制を整えたもの。分子・原子レベルのミクロ領域を超えたメソ領域の材料特性をシミュレーションできるのが特徴で、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)などの開発に応用できる。
  • NECソフトがバイオ研究自動化ツールBioWorkbenchを開発
     2004.05.14−NECソフトは13日、バイオ研究者がデータベース(DB)を検索したり解析作業を行ったりする手順を自動的に実行できるようにする研究支援ツール「BioWorkbench」(バイオワークベンチ)を開発、7月末から販売開始すると発表した。研究者はコンピューターの面倒な操作から解放され、本来の研究活動に専念できる。ソフトウエアの価格はサーバーライセンスで500万円。ユーザー数は制限がない。同社では、関連するSI(システムインテグレーション)サービスなども含めて今後3年間に6億円の売り上げを見込んでいる。
  • コンフレックスがAMBER最新版を発売、理研のMDGRAPE-2に正式対応
     2004.06.08−コンフレックス(本社・東京都新宿区、森下栄一社長)は、米カリフォルニア大学のピーター・コールマン教授らのグループによって開発された分子動力学法(MD)ソフトウエアの最新版「AMBER8」の販売を開始した。たん白質などの生体高分子を対象にした定番のソフトで、新しい力場の追加などの機能強化が施されている。コンフレックスでは、理化学研究所をベースにしたベンチャーである高速計算機研究所と提携し、AMBERでの計算を高速化するアクセラレーターボード「MDGRAPE-2」を組み合わせたかたちで、超高速なたん白質構造解析環境としても販売していく。
  • NTTデータが創薬研究用グリッドシステムを製品化、LigandFit搭載
     2004.06.12−NTTデータは、LANに接続された企業内のパソコンを束ね、グリッドコンピューティング環境を手軽に利用できるターンキー型のシステムとして「Cell Computing BOX」(セルコンピューティングBOX)を開発、たん白質の解析や創薬研究に役立つアプリケーションを搭載して販売を開始した。とくに、米アクセルリスが開発した生体分子と医薬化合物とのドッキングシミュレーションソフトである「LigandFit」(リガンドフィット)を利用できることが特徴。両社は、昨年秋に理化学研究所ゲノム科学総合研究センター(GSC)に対して同様のシステムをすでに提供しており、その経験を生かしてすぐに利用できるシステムに仕上げた。具体的なアプリケーションを搭載したグリッドベースのシステム製品は、ほかにはあまり例がなく、市場での反響が注目される。
  • STSがバイオ分野の検体・試験管理システムを開発、試験工程一元管理
     2004.06.23−サイエンス・テクノロジー・システムズ(STS)は、創薬研究や臨床試験などで細胞や血液などの検体を効率良く管理できる専用システム「TDAMS」(商品名)を開発した。研究や試験現場で困っている技術者らの実際の要望を聞いて開発した製品で、機能が特化していて使いやすいことに加え、将来のLIMS(研究所統合情報管理システム)への発展性も考慮されていることが特徴。Windows対応で、ソフト価格は70万円から。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • IPAが国内のぜい弱性情報の届け出から公表までの枠組みを提案
     2004.04.07−情報処理推進機構(IPA)は6日、経済産業省からの要請により「情報システム等のぜい弱性情報の取り扱いに関する研究会」を設置、論議の結果を取りまとめた報告書を公表した。昨年の「MSブラスター」のように、公開されたぜい弱性情報を悪用して攻撃プログラムが作成されるケースが目立っており、重要なセキュリティ情報を適切に収集し対策するための指針やガイドラインが求められていた。今回の報告書の提案をもとに、経産省では6月下旬または7月初めまでに告示の形で公的ルールを制定し、早ければ7月から実際の仕組みを機能させる。
  • インターシステムズが次世代DB製品を医療機関向けに積極展開
     2004.04.09−インターシステムズジャパン(本社・東京都新宿区、坂寄嗣俊社長)は、多次元データエンジンを持つ次世代型データベース(DB)管理システム「Cache」(キャシエ)で医療機関向けに販売攻勢をかける。もともと病院などに特有のニーズに合わせて開発されたプログラミング言語“MUMPS”をベースにしており、同社の世界全体の売り上げの7割近くが医療機関からのもの。日本法人は設立2年目だが、医療分野への浸透を最優先にして事業拡大を目指す。病院システムに強い大手ハードベンダー(旧メインフレーマー)との提携関係の構築を目指し、スタッフ増員も図りつつ今年は売り上げ倍増を目指していく。
  • 「秋葉原クロスフィールド」が2005年3月からオープン、研究から集客まで
     2004.04.21−NTT都市開発とダイビル、鹿島の3社は20日、秋葉原駅前西側に建設中の「秋葉原ITセンター」(仮称)の正式名称およびロゴマークを決定したと発表した。名称は「秋葉原クロスフィールド」で、地上31階の「秋葉原ダイビル」と同22階の「秋葉原UDX」の2棟から構成される。オープンはそれぞれ、2005年3月と2006年3月。秋葉原駅は、東側にもヨドバシカメラの大型店舗の進出が2005年に計画されており、町の様相は大きく変化することになりそうだ。
  • ターボリナックスが初の本格的な家庭ユーザー向けLinuxを製品化
     2004.04.29−ターボリナックス(本社・東京都渋谷区、矢野広一社長)は、本格的なコンシューマー用途向けのLinuxディストリビューションとして、「Turbolinux 10F...」(商品名)を開発、5月28日に発売する。Linuxとして初めて、ブロードバンドコンテンツ再生などのマルチメディア機能を搭載しており、複数のハードベンダーからこれをプリインストールしたノートパソコンなどの製品化も予定されている。同社では昨年10月にオフィス用途でのウィンドウズ置き換えを狙った「同10 Desktop」を発売しており、家庭用途を意識した今回の「10F...」が戦列に加わったことで、ウィンドウズ一色のデスクトップ市場へなんとか一石を投じたいとしている。
  • アスペンテックジャパンがユーザーミーティング、マッキリン社長基調講演
     2004.05.15−プロセス産業専門のIT(情報技術)ソリューションベンダーであるアスペンテックジャパンは、5月12日と13日の両日、東京・品川のホテルラフォーレ東京で「第9回日本ユーザーグループミーティング」を開催した。参加者は約300名で、2日間に約60のセッションが行われたが、そのうちの26件はユーザー企業からの発表となり、具体的な活用事例と導入効果が来場者の関心を集めた。初日の基調講演では、米アスペンテクノロジー社のデビット・マッキリン社長兼CEOが新ソリューションとしてのEOM(エンタープライズオペレーションズマネジメント)のコンセプトを紹介、「プロセス産業はEOMを活用することで、今後10年間に大きな収益向上のチャンスがある」と述べた。
  • サン・マイクロがLinuxベースの統合デスクトップを発売、管理機能充実
     2004.05.19−サン・マイクロシステムズは18日、Linuxをベースにした統合デスクトップ環境「Sun Java Desktop System」(サンJavaデスクトップシステム)を開発し、販売を開始したと発表した。パソコン向けのLinux系OS(基本ソフト)とオフィスアプリケーション、システム部門が多数のデスクトップを集中管理できるようにした管理ツールなどを統合した製品で、まずは企業のクライアントマシン向けに普及・浸透を図る。マイクロソフト製品から切り替えることで大幅なコスト削減が可能になるとしており、伊藤忠テクノサイエンス(CTC)をはじめとする販売パートナー各社からも積極的に提供していく。販売目標は控え目に初年度3万本だが、市場での反響が注目される。
  • ノベルがLinuxディストリビューションに本格進出、フルラインで製品化
     2004.05.28−ノベルは27日、国内でLinux事業を本格的に開始すると発表した。今年1月にLinuxディストリビューター大手の独SUSE(スーゼ)を買収したことを受けたもので、6月1日から順次、企業向けのサーバー製品およびデスクトップ製品、コンシューマー向けデスクトップ製品を発売していく。業界最大の企業規模を持つLinuxディストリビューターとして、全世界にわたるサポート体制を武器に、既存のシステムからの移行や共存のためのプロフェッショナルサービスを提供していく。
  • 米インテルがアイテニアム2の順調さをアピール、次世代へのロードマップ
     2004.06.14−インテルは11日、都内でプレスセミナーを開催。米インテルのエンタープライズプラットホーム事業本部エンタープライズマーケティング&プランニング事業部のアジェイ・マルホトラ事業部長が講演し、アイテニアム2の順調さをアピールした。セミナーの中では、NEC、日本ヒューレット・パッカード、日立製作所、富士通がそれぞれアイテニアム2マシンの実績やユーザー事例などを紹介。それを受けてマルホトラ事業部長は、「エンタープライズコンピューティングを熟知しているこれら各社がアイテニアム2を選択してくれたという事実がすべてを物語っている。事業面でも、アイテニアムファミリーは十分に満足のいく結果を示している」とした。
  • 日本HPがEM64T対応ジーオン搭載ワークステーションを発売
     2004.06.30−日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は29日、インテルの64ビット拡張技術(インテルエクステンデッドメモリー64テクノロジー、略称・EM64T)対応の新型ジーオンプロセッサーを採用し、パーソナルワークステーション「HPワークステーションxwシリーズ」を一新すると発表した。数値シミュレーションや設計、コンピューターグラフィックス(CG)制作などの技術分野に最適。とくに、大規模モデルを使った設計・解析などの巨大なメモリー空間を要求するアプリケーションにおいて64ビットの威力が発揮されるという。さらに、PCIエクスプレスやシリアルATAなどの最新技術を搭載して価格はほぼ据え置きとなっている。

 

 


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